仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

「いのまま」オカヤイヅミ

自炊エッセイまんが。  

いのまま (芳文社コミックス)

いのまま (芳文社コミックス)

 

これはtwitterでフォローしているRubyistのとりいさんが言及していて、なんとなく気になって買ってしまったものです。

3月はずっといろんなことが続き、気が抜けない日々だったので、風呂に入りながら読む本を新たに仕入れたかったのですよ。

中年ひとりぐらし自営業(イラストレータ、まんが家)のオカヤイズミさんの自炊エッセイマンガ。

 

ゆるい自炊かとおもいきや、けっこうちゃんとしている。いやむしろ、ハードでは……

このひと、すごい。

うとうとしながら徹マンしてるのに、その途中抜けて、卵白をあわだてて作るホットケーキをみんなのために作ってしまう。ベーキングパウダーじゃなくて。しかも卵白泡立て、手でやってるのですよ。私はもうできない。電動のやつしか使わない。

夜中寝ている時に友人がフルーツサンドの話を電話してきたから、起きて、彼に(遠隔で)つきあい買い物をして、作って食べてしまう。そしてまた寝る。なんで起きられるの。

3時まで飲んで、歩いて帰宅して、そして白玉だんごを(もちろん粉から)作って、食べる。いや、服脱ぐのもままならずバタンキューでは、普通は。

 

すげえなぁ、とにかく私ならすべて「眠いからしない」「疲れているからしない」以外の選択肢がない状況で、オカヤさんは料理をするのだ。

 

これが、イラストレータさんのような自営で時間が決まっていない仕事をやり抜ける人の素質なのだろう。睡眠に勝てる力がないと。

それからきょうの料理にときどき出てくる「料理の素」みたいなのも作って冷蔵庫に常備してあるのがすごい。お弁当つくるお母さんみたいに。ゆでたじゃがいも、肉味噌。なんてこった。ちゃんとしている。

私はそういうの、少し先の未来に楽できるとわかっていても、やらないんだよね……

 

料理はすべて、とてもおいしそう。影響されて、私も作りたくなったものも多い。

かぼちゃマッシュと鶏肉のソテーのホットサンドなんて、すっごいおいしそうだから、何度もかぼちゃ買って、鶏肉も買って、そんで、結局作らないのだ。

しゅうまいがおいしそうだから、適当に作ったらなにもかも間違っていた。しゅうまいは玉ねぎと豚肉なのだ。合い挽きとネギじゃないのだ。息子に「変」と言われた。私、やっぱいい加減なんだよなぁ。

 

微妙に私の共感とずれる。ちゃんと普通の女子で、おんな友だちと楽しく飲んだり、家飲みしたりしているあたりとか。知らない世界だ。

あと私はビールの缶は潰さない。仙台市のリサイクルでは潰さないことになっているので。どうでもいいか。

 

こういう本は自分の料理の幅が広がるから、よいものです。ありがたく、おふろの友に、ねいりばなの友に、しています。

酒日記3/3

  • おはこ仙台市地下鉄南北線五橋(or 愛宕橋)から徒歩5分くらい)
    • twitterのおともだちに誘われ
  • 時間
    • 17:30-20:30くらい?
  • お店
    • 古いビルの地下のごくごく小さな飲食店街。提灯がならぶ階段を降りていく。この雰囲気大好き。
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  • 飲んだもの
    • スーパードライジョッキ
    • ラガー瓶
    • 日本酒
      • 「充正(みつまさ)」知らないお酒だったので。伯楽星の新澤醸造店だそうな。検索しても全然情報でてこない
      • あとこれは味見程度に飲ませてもらったのだけど、「大学生の純米大吟醸仙台大学と作ったんだって。これも新澤醸造店。
  • お料理
    • せり鍋、アスパラバター、かつお大根、おまかせいろいろ
      • うまい
      • おまかせで出てきたおからのサラダが美味しかった
      • せり鍋ほとんどラストシーズンだったので食べられてラッキー
      • せり鍋にひっつみとお豆腐が入っているのは個性的
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  • お店を出てから
    • 酔っていたので2軒目に行きたい気分だったがやめた
    • 地下鉄で帰宅。ご一緒した方はなんと残務整理に……
    • 北四番丁で降り、自転車を押して徒歩で帰宅
    • 幸い、薬を飲むためにお水を買ってあったので、それを飲みながら適度に酔いを覚ます
    • ローソンで値引きの惣菜を衝動買いしてしまった。翌日の朝食にと思って。でも買いすぎた。やはり酔っていた。
  • 帰宅後
    • 寒くてしばらくストーブの前でごろごろしてしまう。意識があまり保ててなかった
    • アイスを食べたかったが止めた
    • とにかく足が寒いのでお湯を沸かしてたらいに湯を張り、歯磨き洗顔した後に足湯をした
      • 酔っ払って熱湯を扱っていたので危険だった
    • ビタミンCをとビオフェルミン漢方薬を飲む
    • 水を2、3杯
  • 酔い具合
    • 酔いざましに歩いたとはいえ、かなり飲みすぎだったかも
    • 帰宅後ごろごろしてしまう時点で飲みすぎ
  • 体調
    • すごく喉が渇いた。やはり飲みすぎ
    • 二日酔いにはならず
  • 便通
    • まぁふつう
  • 体重
    • 食べ過ぎ。翌日1kg増、翌々日2kg増。
      • 体重増加は1日遅れて来る
  • 反省
    • ちょっとやっぱり飲みすぎましたね
    • ビールの時から水を飲むべきだと何度反省すれば
    • でも水をあらかじめ買って持ち歩いていたのはよかった。今後もこの方針で
    • じっくり煮込んだ系のお料理がおいしかった
    • 地域の人に愛されるお店という感じも良かった。
    • おまかせで定食を用意してもらうのもおいしいそうです。

日本酒を飲む人、を、やめようと思う。

最近、日本酒に惹かれなくなってきた。ので、日本酒を飲む人、日本酒が好きな人というキャラをもうやめようと思っている。

 

年齢とともに酒に弱くなってきているというのが一番の理由。

飲んだら、記憶なくすかな。吐くかな。明日、どうなるだろう。

日本酒を前にして、わくわくするより、その具合の悪さを想像するようになった。休日具合悪くてまるまる潰れると、もったいない。ランニングやってるのもあるのかもしれない。

 

飲んでいる時も、かならず同量以上の水を飲むようにしている。そうするとなんとか翌日無事なんだけど、胃が冷たい水で満たされながら、苦労して飲むのってなんか、違うんじゃないかと。

私は、日本酒の人、だった。今もそう見られているかもしれない。

20代のころ行きつけの店では一升瓶をキープしていた。「日本酒が好きだよね」というキャラだった。でも飲んで必ず記憶を無くして吐いてた。

うまい日本酒の店をチェックし、酒飲み友達とそこへ行き。日本酒のおいしい店は料理も大抵おいしい。雰囲気もいい。宮城は酒がおいしい。DATE7とか蔵元もいろいろなことやってる。日本酒を飲むことが地域を支援することになる。

でも、飲んだ後が怖い。

約一年前、飲みすぎて、転んで、スカートやコートを血まみれにして、怪我で生活に支障をきたしクリーニング代もかなりかかって、怖くなった。

私、いつか飲みすぎて家を燃やすんじゃないか。

かつて、一緒に飲んで心底楽しかった友人たちとも、疎遠になった。

では自宅で飲めばいいではないかと言われそうだが、それも難しい。

これ飲みたい!と思って日本酒を買っても、いっこうに減らないのだ。なんだか、気軽に飲めないのだ。気がつけば1,2ヶ月冷蔵庫を占領していて、最後は料理に使われてしまう。

 

そうだ、私はたぶん、そんなに日本酒が好きではなくて、ビールのほうが好きなのだ。

最近、そう気づいた。

そらそうだ。前から、自宅で飲むのはまずビールだ。そしてとあるきっかけで、クラフトビールの店に行くようになった。いろんなビールに目覚めてしまった。

ちびちび、味わってしみじみ飲むより、しゅわしゅわした苦いやつを、ぐびぐびっと飲みたい。あー、私はそれが、好きなんだ。(フルーツ系は苦手)

 

日本酒好き、というキャラは便利だった。でも、やっぱり、辛い思いをしてまで纏いたいキャラではない。

 

というわけで、宣言。

今後、なるべく日本酒は避けます。

今後は、ビール好きのキャラでいきます。

 

ちなみにお気に入りのワインバーができてからワインも飲むようになった。前はワインはほとんど飲まなかったんだけどなぁ。

3人以上になると途端に話せない

「3人以上」まで入力すると、「会話が苦手」などと候補に出てくるので、この症状がある人は多いのだろう。

 

私は、3人以上でまともに会話ができない。

打ち合わせ、ディスカッション、意見交換。そういうところで、自分がうまく話せたことが、一度もない。

「私はそうは思わないんだけどなぁ」

「ああ、自分の意見を、言いたい、言いたい!」

「この話題で最適な実例を知ってます、知ってます!紹介したいんです」

「あ、これ、私のことかな?言う?言う?言ういわなきゃうgy−あああああm他の話題になってしまったあああ」

などと、毎回脳内で悶え苦しんでいるのに、表面は残念な顔で薄笑いを浮かべて、その場の雰囲気を楽しんでいるかのようなように装ってしまうので、誰もわかってくれない。

 

長縄跳び、の怖さなんです、わかります?

あの、ぐるぐる回る中に、はいらなきゃ、はいらなきゃ、と思ってタイミングを伺っていて、もうこれ以上待てない、よしっと入ると、バシッと縄が足首を打つ。

そんなかんじで、思い切って話し出すと、ほとんど誰かと同時に喋ってしまい、「あっ……」と言葉をひっこめる。

 

「あれ、むなかたさん全然喋ってないですね」

「すみません自分のことばかり言っちゃって、むなかたさんどうですか」

私の沈黙に気づいた他のメンバーがこっちに振ってくれるところもあるが、その時は唐突にやってくるのでしどろもどろになってちゃんとしゃべれない。

だから、あ、べつに喋りたいことないんだなこの人、と解釈されてしまう。

これは社会人としてたいへんにまずいことである。まずいことであるが、幸い私はあまり偉くないため、3人以上で会話する機会が非常に少ない。集まりなどではひたすら我慢してきた。

 

インターネットの登場で、私はそんな長縄跳びの恐怖を味わうことなく、複数人の会話にダイブすることができるようになった。インターネットってすごいんですね!ところがネットが仕事やら現実の世界と密接につながってきた昨今のSNSの世界だと、リアルでも会わなきゃいけなくて、リアルでは全然喋らないんだこの人、となる。ネットの私の饒舌なイメージを持って現実でもそうだと勘違いされて、過度な期待を負われてしまうこともある。

「せっかく会えたのにむなかたさんとほとんど喋りませんでしたね!こんどはもっとお話しましょう!」

「せっかくの機会だからもっと喋ってください」
などと言われることが良くある。

もう恐ろしくて恐ろしくて。いいです、あの、現実で多人数の会話って私苦痛なだけです、ネットだけの付き合いにしましょうよ…と言いたくなる。

 

さて「3人以上の会話が苦手」で検索するとそれなりにみんな相談しているし解決したいみたいなんだけど。

「気にせず、聞き上手でいたらいいのでは?(この意見めちゃくちゃ多い)」→いや、じっと聞いてるのいやなんです

「どんな話題が出ているのか、上手に全体を俯瞰できていないのでは。僕との会話レッスンを」→できてるよ

「父親との関係のトラウマが。カウンセリングを受けましょう!」→めんどくさい

「広範囲発達障害です」→だから?

私、社会不安障害と診断されて薬飲んでたこともあったけどあまり意味なかったんで。

 

すげえな、我慢するか病院行くかどっかの商売ネタになるしかないのかよ。

もういいわもう。

私、3人以上だとしゃべれないんですー!許してねー!って言ったって誰も許してくれないし。

記憶なくすぐらい飲んだときは、めちゃくちゃ喋るらしいんです、めちゃくちゃ気分よかった記憶はあるけど話した内容は覚えてません。

 

しかしここではたと気づく。

私、2人でもそもそもまともに話せないじゃん。

それが3人以上だと問題となりやすいのは、それが、意思決定の場だったり、仕事上必要だったりするケースが多くて、意見を言えない自分が不利益を被ったり、後から悔しい思いをしたりするからだ。そーかそーか。

 

書いていると本当にめんどくさくなってきて、思い出すと辛さで胃がちくちくしてくるのでそろそろやめるけど、シラフで記憶なくすくらい酔っ払った状態になったらきっと私も喋れるようになるのだろう。

 

ああ、薬や酒に頼るしかない人生の人たちがとたんに身近に思えてきた。 

酒日記2/23

  • 飲んだ店:たら福  18:00-21:00
    • 飲んだ酒
      • ビール中 2杯
      • 19:15 萩の鶴
        • ビール2杯めからお水頼めばよかったなー
    • 料理
      • お通し:巨大なふろふき大根
      • たら菊酢
      • 金華鯖
      • 卵焼き
      • 他にもいろいろ
    • ひとり3000円
  • 移動
    • なんとなく気分が不完全燃焼だったのですぐ帰る気がせず歩く
    • 気になっていた定禅寺通り地ビールの店に向かった。しかし店内の様子を見て、どうしても気が進まず、行き慣れた店へ……
  • 飲んだ店:麦酒食堂 3F-22 21:30-22:45
    • 飲んだ酒
      • グローシュ・プレミアム・ヴァイツェン 250ml 880
      • ブリュードック・パンク・IPA  330ml 880
        • すっごく、おいしい…
      • お水も頼みました
    • 食べたもの
      • Einbergのソーセージ(2本)
      • 安定のおいしさ。肉を摂取してなかったので肉分が欲しくて
    • 会計29??円 忘れた、3000円しなかった
    • お知り合いがいた ^^;;
  • 徒歩で帰宅
  • 自宅 23:15
    • 自宅にアイスがあると帰宅時余計な物を買わなくて良い
  • 帰宅後の行動
    • 寒さと酔いでストーブの前でしばらく動けず。それで30分くらい費やしてた?
    • アイス食べる
    • 水2杯、ブドウ糖、ビタミンC
    • 化粧落として顔だけ洗い歯磨きして寝た。多分1時ぐらい
    • 時間は不明だが喉が渇いて起き、水2杯追加
  • 酔い具合
    • 酔いすぎ
    • 交通機関が終わったので酔いに任せて歩いたが、余計回ったかも。一歩間違えると去年の惨劇を再現していた。あぶない。
  • 体調
    • めっちゃ喉乾いて3時ごろ目覚める
    • ちょっと飲みすぎ
    • 軽い頭痛もあり
  • 便通
    • 飲みすぎ恒例でこれだけは良
  • 感想
    • 愚痴とか批判をネタにして飲むのって楽しいかどうかっちゅーと、場合による
    • たら福のお通しの巨大ふろふき大根すごくうまかった。味噌になにかくるみっぽい味があった
    • 萩の鶴は、こたつ猫かと思ったが違った。じゃぁやめますとも言えず頼んだ
      • こういう物を言えない性格が、よくない
      • 日本酒はきつい年齢になってきていることを実感
    • ブリュードック・パンク・IPAがうますぎて今すぐまた飲みたいぐらいだ
    • でもやっぱり飲むのは一軒だけにしといたほうがいいかもしれない

たら福の料理

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麦酒食堂 3F-22
グローシュ・プレミアム・ヴァイツェン

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「美しい距離」山崎ナオコーラ

死ぬとわかったら私はどうするだろう。

やっぱり入院しながらも、こんなブログで情報発信しつつ、ツーリングマップルを見ながら温泉キャンプしたいとわくわくしているだろう。乗れなくても、なんとかバイクのそばまで連れてってもらって、エンジンだけかけて音に浸りたい。

それを考えると息子には早く免許をとってもらわなければ。

あと可能ならいろんなビールを飲みたいなぁ。

 

死んだら、火葬のとき、やっぱりライダースジャケットを着せてほしい。あとバイト先の制服を一着お棺に入れてほしいな。

 

山崎ナオコーラの本は、淡々とした人の日々に寄り添っている感じが好きだ。

起きることは、書こうと思えばドラマティックになるのに。 

美しい距離

美しい距離

 

 40過ぎの主人公が、スキップして駅をゆく。向かうのは病院だ。入院しているのは、妻。

病名は明確に書かれていないが、どんどん痩せて抗がん剤を使ってやがて死に至る病

まだ40代前半なのに。サンドイッチ屋を一人できりもりして、充実して仕事をしていたのに。優しい夫と両親がいて、店の取引先にも恵まれ、お店のファンもついて。なにも悪いことしてないのに、死は人に、平等に降って来る避けようのないものだ。

 

死ってのは日常だよな、と私は常々思っている。何人か身内や友人たちが死んだのを見て、いつも私はほとんど悲しくならないし涙も出ない。

自ら動いていた生物としての人のステイタスが変わって物体になる。ドラマだの漫画だのの、かっこいい死に際は非常に違和感がある。

なのに、人は、なにかそこにドラマを期待して、悲しそうに泣いて。

 

妻は、死に向かっていることがわかってからも、ふつうに生きる。

取引先の人や常連客の見舞いがあって、仕事の話になるととても喜ぶ。サンドイッチの新作を提案されたら前向きに考える。多分妻は、仕事の話をしている時がいちばん、生きている。だから、見舞い客の持って来たサンドイッチの材料となるパンを、野菜を、ゆっくりかみしめる。その描写がとてもおいしそうなのだ。病院食もあまり食べられない状態で。

妻が食べる描写と、常連さんとのやりとりを読んで、食べたくて仕方がなくなり、『パンばさみ』のようなサンドイッチ屋さんがあったらなぁ、と思った。

妻の母は戸惑う。こんな時に仕事のことなんて話したら辛いのでは、と。夫もすこしはそういう気持ちがあったろう。

残り少ない日々は家族とのんびり、好きなことを。世間一般にはそんなことを言われるが、妻にとっては仕事のことを考えることが一番生きることなのだ。

私だったらどうだろう。仕事いろいろしてるけど、そんなに好きじゃないし生きることと直結してるとは思えない。不幸にもそこまで思える仕事に出会っていない。まぁできれば死ぬまでに、ずっと考え続けたい仕事に出会いたいものだ。

 

妻はどんどん死に向かう。

見舞いにくる親戚が目の前でボロボロ泣く。見舞い客も泣く。夫は戸惑う。妻がかわいそうな存在と見られることに。妻は日常をいっぽいっぽ生きているだけなのに。

痩せていき、不自由が増えていき、そしてなんの前触れもなく夫の前で妻はふっと亡くなる。

押し寄せてくるもろもろの手続き、しきたり、行事。

 

最後まで読んで、気づく。主人公の夫婦をはじめ、主要登場人物の名前が一切出て来ない。屋号や会社名は出てくるけど。

へぇ、こういうの可能なんだ。面白い。

 

読み終えて、私の思う死に近かったなぁと。

よく、死ぬとき後悔しないように、〇〇しなきゃ、と言う人がいる。起業家とか立派な人に多い。でも死ぬとわかったら後悔もなんもなく、当たり前に日常を生きるだけだと思う。

死、という文字を掲げてがんばれるほど、死って特別じゃないだろうと。