仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

おかあさん一人でカーシェアで

体がすごく疲れてしまった。どうしても温泉に行きたくなった。

この季節にバイクで温泉に行くと、帰る時には凍えてしまう。おそらく帰宅する頃は行く前より冷えきっている。行くんだったら車を借りていこう。でもそうするとカーシェアのお金がかかる。だったら温泉じゃなくて銭湯に行けばいいんじゃないのか。でも銭湯も結局バスや自転車使っても15分くらいかかって、冷えてしまうんだよね。

行くんだったら風呂がいっぱいあってゆっくりできて、マッサージ椅子がある場所に行きたい。うむ。やっぱ車を借りてちょっと大きめのところに行こう。レンタカー代を考えると1人でいくのは申し訳ない。そこで息子に声をかけた。

「温泉行かない?」

あいまいな返事が帰って来た。だいたい息子は家にいるとゲームをしているのだ。

しばらくして再度声をかけると、自分は勉強するから行かない、という。勉強するからってさっきまであんなにゲームしてたのに? すると

「俺は温泉行きたくないんだよ!!」

と、切れた。

あーそうですか、なんだよ、じゃぁ私一人で行くわ。私は1人でカーシェアを予約して、ベガロポリスの「やまびこの湯」に行った。

 

日曜日の午後。1人のレジャーは、お母さん業を長年やっていると、どうしても後ろめたい気持ちがある。

だから同意してくれなかった(口実になってくれなかった)息子に腹立たしかったし、1人で楽しむのが申し訳ないと思った。
なぜだろう。なぜ申し訳ないと思うのだろう。 

まぁお風呂は大変気持ちよく、マッサージ椅子も2回堪能し、うたたねどころで寝たりもした。ただ、私は車の運転にいまだに自信がなく、夜に恐怖の青葉山を越える最短距離を選んだので、めちゃくちゃ不安だった。

幸い、八木山橋や青葉橋から落下することもなく、帰宅できた。

 

この日の日帰り温泉は、

  • やまびこの湯 750
  • ソフトクリーム 350
  • マッサージ椅子 400
  • カーシェア 1648

合計、3,148円。

3,148円のレジャー。

ああ、こんなにお金を使ってしまった。申し訳ない。

 

しかし後になって考えると、この値段って一回飲みに行くのとあまりかわらないじゃん。なくなるお金は同じなのに、この気分の違いはなんだ?

飲みに行くのは、息子を伴えないから堂々と1人で行って楽しめるのに、息子を伴える場所に1人で行くのは後ろめたい。そういうことだろうか。

 

あと、自分が養われている存在なので、他人の稼いだ金で楽しんでいるのがうしろめたいというのもあるかも。

首に鎖がついている気分はどうしてもとれない。自分でちゃんと稼いでいたら、自分の稼いだ分だ、楽しむ資格あるだろう?って言えるのにねぇ。

 

しかし、と思い直す。

そういえば1人でレンタカー借りてキャンプ行ったりするのも1人でバイクに乗ってキャンプに行くのも後ろめたくない。1人で東京に2泊ぐらいするのもうしろめたくないし、なんだろうな、後ろめたさの基準が不明だ。

「それは家族と一緒でもいいんじゃないか」

という要素が含まれていたら、うしろめたいのか。

 

よくわからない。

よくわからないが、もっと自分1人で楽しめるよう認知のしかたを変えていきたいと思った。

11月から2月に読んだ本

 いっぱい本を読んで、レビュー書きたいんだけど書く時間がない。まとめ。

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

 

「ノラヤ」をたたむに至った私をちくちくと刺す本だった。 

仙台市の創業支援の方々はこれを読んでいるのだろうか。

 

薬物依存症 (ちくま新書)

薬物依存症 (ちくま新書)

 

薬物依存に対するイメージががらりと変わる。罪をひたすら責めて追い込んで気がすむという現在の状況はよろしくないよね。 

 

面白かった。知らなかったことがたくさん。

 

世界史を大きく動かした植物

世界史を大きく動かした植物

 

面白かった。 

 

未来職安

未来職安

 

私にしては珍しく買った本。

monyakata.hatenadiary.jp

 

わたしのウチには、なんにもない。 「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります

わたしのウチには、なんにもない。 「物を捨てたい病」を発症し、今現在に至ります

 

 くそつまんなかった。この著者で何冊も本が出て信者もいてドラマ化もされたなんて信じられん。だってこの人、捨てることの根拠が「自分がいらない」だけ、なんだもんな。

その勢いで家族のものも片付けてしまうので、正直不快感しか残らなかった。
仙台の人だそうだが、そこそこ中心地にそこそこ大きい家を持っていて、震災で壊れたので新築してというあたり、あまりお金に困ったことがない人とみた。進路に対する親の寛大な感じも、貧乏人にはありえない余裕を感じる。お金がふつうにあって、好きなものが買えるからこそ、ものを捨てるのに抵抗がないし、自分が苦労して稼いだお金でものを買ったらそれは捨てがたいという気持ちもないんだろう。

 

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

 

くっそおもしろかった!!

 

重力アルケミック (星海社FICTIONS)

重力アルケミック (星海社FICTIONS)

 

 さくっと読めて気分がいい本だった。出て来る人がみんないい人だ。あー大学生ってこういうことやらかすよねぇ、大学ってこういうことあるあるだよねぇ、うんうん。文系の私もわかる世界。

理系の大学院生がみんなこんなに羽ばたける未来あれと思う。爽やかな青春小説。表紙のように、風が通っていった感。

 

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

 

帰省中に散歩していたらブックオフがあって、新春セールをしていたので買った。

ちりばめられたネタをすべて拾える人はいるんだろうか?いるとしたら私と同じおっさん世代だろう。

すごく面白かった。知らない鳥類学者の研究に触れることができたし、なにより文章が楽しい。くっそ楽しい。

 

火口のふたり

火口のふたり

 

 つまんなかった。映画化するというから借りてみたんだけど。表紙がエロい。多少のことでは動じない私もこれは息子の目が届かないようにしてしまった。

 

アド・バード (集英社文庫)

アド・バード (集英社文庫)

 

面白かったー!

柞刈湯葉さんつながりで読んだ。これ、今じゃん。まんま。

ネットの世界じゃないかー。 蛇口を開いて水を流すように我々はブラウザの広告に流されている。

 

どもる体 (シリーズ ケアをひらく)

どもる体 (シリーズ ケアをひらく)

 

面白かったのでレビュー書きました。

monyakata.hatenadiary.jp

 

気がむいたら個別にレビュー書きたいです。

化粧をしなくなってしまった

私は中年女性ですので、人前では化粧をしなければならないらしいです。

でも最近、ノラヤ出勤時に化粧をやめてしまった。

 

正直、徒労感があるのですよ。

メイクするのも落とすのも、めんどくさい、そのために睡眠時間が削られる、食べると落ちる、こすると落ちる、なにもしなくても落ちる、手も汚れる。あんな面倒な思いをして、なんか得られるものがあるのかなぁと。

 

メイクしてきれいになったら、嬉しいでしょ?

鏡の中の自分に見とれて、心がウキウキして、前向きになって、笑顔になって素敵な自分になれちゃう♪

 

……うーん。

そう、思い込もうとして数十年。

どうしても、心理的効果より、めんどくさいほうが大きい。

おそらく綺麗になりたい、綺麗になると嬉しいという気持ちが普通の女性に比べて極端に低いのだと思います。メイクだけでなく、スカートも履きたくないし、ヒールも履きたくない。

 

もともと、休日は化粧していなかったです。

コンビニ行くときもスーパー行くときも銀行行く時も化粧しないです。

 

うちの母なんかは、昔から

「みっともない」「しないのは恥」「失礼」

って言うんですけど。

そういうネガティブな理由で仕方なくするもんなんですかね。

女性が素顔で外に出ていたら「失礼だ!」「迷惑だ!」「損害を与えた!」って指さされて非難され裁判を起こされるとでもいうんだろうか。

男性はなにもしてなくても失礼にならないのに。

 

バイトに行くときは化粧します。まぁしなきゃいけないようだし。

飲みに行くときや、まちなかに買い物行くときは、化粧するしスカートも履きますよ。

でも、そういうときってモードチェンジ、加工を施した自分になっている。

化粧して自分の顔がちょっと変わるのは確かに、楽しいです。シミとか薄くなるしキメが細かく見えます。でもその楽しさって「メイクして綺麗になって嬉しい」というより、加工で変化するのが面白い実験的な楽しさ。別に毎日しなくてもいいよめんどくさいし、と思う。

 

そりゃー若い頃は、化粧したりオシャレしたりすると褒めてもらったりかわいいと言われたりして嬉しかったけど、もうそういう見返りもない。

30代の半ばぐらいだろうか。何年も前から知り合いで、何度も会っているとある男性と、たまたまちょっと濃い口紅を塗っている時に会って、こう言われた。

「あれー。sato_kawaさんが化粧しているの初めて見た」

驚いた。その人に会うときはそれまでも100%化粧していたのに。

男性の女性のメイクに対する認識ってそんなもんなのだろうか。

違う。その方の周囲にはたくさんの美しい人たちがいた。とほほ。私のような地味な女が化粧したところで、化粧していると認識されないということだ。めんどくさい思いをして化粧するのが、ばからしくなった。

顔面偏差値が30から40になるくらい?劣等生が「勉強したって無駄だ」と言う気分が、よくわかった。

たとえ他人から美しく見られてなくても、化粧して気分が上がって自己肯定感が得られるなら価値はあるだろう。

でも、私はそんなんでもないかな。

化粧品、金もかかるしさー。

 

だったらいつだって汗だくになれて、いつだって温泉に行けて顔が洗えるほうがいい。顔がかゆけりゃ掻いて、ラーメンも骨付き肉もかぶりつける。

あー、そうそう。バイク乗りだから、ファンデーションでヘルメットの内側やゴーグルが汚れるんだよ!!

化粧した顔を鏡で見るより、銭湯で風呂上がりに全身見るほうが自己肯定感があがりますね。

 

あ、それから、夏は紫外線を防ぐために顔も体も塗ります。これもめんどくさいけど、紫外線による人体への影響は明らかなので、しかたない。

copytrackでブログの画像を無断利用していたサイトに利用料を徴収できた話

copytrack、ご存知でしょうか。

www.copytrack.com

 

このたびちょっと困ったことが起きたため、このサービスを利用しました。その体験談を少しご紹介しようと思います。

とあるサイトで無断利用を発見

いろいろ経緯はしょりますけと……ある日エゴサーチしてたら、私のブログの画像が無断使用されているサイトを見つけました。他にも問題はあったんで、その点とともに抗議することにしました。問題のサイトの魚拓をとり、問い合わせフォームから問い合わせ文を送りました。

以前、ノラヤのチラシのデザインをパクられるという事件がありまして、こういう問い合わせを出すのは2回目となります。その時にこの手のメールの書き方を多くの方に教えてもらったので、その記録を掘り起こし、書きました。何月何日まで回答してください、と期限も入れて。

期限が来ましたがいっこうに返事は来ません。どうやら、無視されてしまったようです。

copytrackを利用してみることに

次の段階は、内容証明郵便でしょう。

でも、ここで、copytrackを利用してみることにしました。

copytrackを利用するにあたって、一番参考になるのはこちらのオオスキトモコさんのnoteです。

note.mu

この記事がなければ、私は利用に踏み切ることができなかったと思います。本当にありがたい!

なにより安心感が得られたのが、日本語での問い合わせにも対応してくれるという情報でした。

copytrackはちゃんと日本語化されているし、日本人スタッフもいます。問い合わせ用のチャットもあります。私もちょっと不安に思ったことがあったので、質問してみました。丁寧な返事をいただきました。

画像登録、ヒット

まずは画像を登録します。

左のメニューから「コレクション」を選び、必要に応じてフォルダを作って、そこに自分の調べて欲しい画像をアップします。タグ付けもできます。このとき、600×600より小さいと、受け付けてもらえません。

登録して、待ちました。

1日1回くらいcopytrackのdashboadを確認しました。

するとすぐに、例の無断使用のサイトがヒットしました。この段階では、まだなにも手続きは進みません。自分が運営している別サイトの可能性もありますからね。

でも、もう見込み金額まで出ています。見込み金額が出ると、なんかこう、まえのめりになりますね……

ユーロの送金を受け取れる外貨口座が必要

よし、copytrackさん、お願いします!という前に。

copytrackはドイツの会社です。copytrackが徴収した利用料は、手数料を引かれたあとユーロで支払われるのです。だからユーロで送金を受け付けることができる銀行口座が必要です。

そこで口座のある住信SBIで外貨口座を開設することにしました。 前述のオオスキトモコさんは新生銀行の例でしたね。私は新生銀行の口座がなかったので。

あとで考えるともっといろんな銀行を調べればよかったのですがこの時は早くお金が欲しくて焦ってたw

contents.netbk.co.jp

じっくり読んで、いろいろ調べたんですが、外貨をとりあえず買わないと口座が開設できないようです。そこで500円分だけユーロを買い付けしました。

翌日、無事外貨口座が開設されたのを確認。

銀行の情報を登録

支払先の情報その他を登録します。

copytrackの左側のメニュー「管理」から「お支払い先住所」を選んで、情報を入れます。

「担当者名」は英語じゃないとダメですが、住所は日本語でok。

そしてちょっと不安になってくるのが、下の方の「銀行口座情報」。

"第三者中継銀行を介してのお振込には対応しておりません"などの注意書きがあって、本当に大丈夫かな?と心配になりましたが、住信SBIは大丈夫だったようです。

口座名義はローマ字。swiftコードや銀行名などは、住信SBIの場合書き方がこちらにあるのでその通り(というかコピペして)入れます。

contents.netbk.co.jp

口座番号の入れ方がちょっとわかりづらいです。「住信SBIネット銀行のお受取人さまの支店番号・口座番号」とあるのですが、単に、支店番号口座番号を繋げた数字の文字列を入れればOKでした。

ちなみにこの情報は、ケース提出時に入力もできます。(というか私はそうやった)

ケースを提出

「ヒット」のリストから、無断利用している項目の「ケースを提出」のボタンをクリックして、いくつかの項目を入力していきます。このあたり迷うのですが、よく読み、またオオスキトモコさんのサイトを見ながら、入力していきます。

最後のボタンを押すのに、だいぶためらいましたが(というか、実は2日くらい迷った…やめといたほうがいいのか、おおごとになったらどうしよう、刺されたらどうしよう、とか)、おもいきって押しました。

進行状況

提出されたケースは左メニューの「ケース」に入り、進行状況を確認することができます。わかりにくいですが、ケースのリストの右端の「目」のマークをクリックすると、詳細を確認できる画面が出て来ます。その画面の右上のドロップダウンリストで「通知をオン」にすると、状況が変わった時メールで教えてくれます。

状況が「新規」から「レビュー」に変わり、多分このあとはしばらく時間がかかるな…数ヶ月かな…と思っていました。

獲得

数日後アクセスしたら状況が変わり「獲得」になっていました!詳細がメールでPDFで送られてきました。

ケース提出してから3日後に、相手にライセンス提案が行われ、その日のうちに承諾され、さらに3日後に支払いが行われ、翌日に私への送金処理が行われました。なんと7日で…このスピードには驚きました。

相手の対応も早かったんですね。問い合わせフォームは無視されたのに。

受け取り口座側の処理

ところが、今度は送金を受け取る銀行側で手続きが必要となります。

要は、この送金はあやしくないよ、というのを銀行に伝えなければいけないのです。住信SBIからメッセージで手続きの指示が来ました。テンプレートの通り、日本語で書いて送ればOKです。それが確認されたあとで、ようやくユーロが入金されます。

外貨送金手数料……

しかし、ここで外貨送金手数料というものがかかってしまうんですね。住信SBIの場合、1万円以上は無料ですが、少額の場合は25.00ユーロかかっていました。

copytrack社の手数料、外貨送金手数料とで、支払ってもらった額からだいたい半分くらいになってしまいました。

さらにこれを円にするとまた為替コストがかかるのです。なので……まだユーロのままです。

おわりに

copytrackの事例は、イラストレータさんや写真家の方など、その画像でお仕事をしている方が多かったので、ただの一般人のブログの画像でもお願いしていいのかなぁ、無謀じゃないかなあ、とためらいがありました。でも、こうして利用料を徴収できました。

名もない一般人であっても、そのブログの内容は立派な著作物です。勝手に使っていいわけがありません。利用料は少額でも、その会社が無断利用を認めたというところに意義があったと思います。

みなさん、copytrack使いましょう!

 

灯油がない!

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灯油でちょっと……どたばた騒動があった。恥ずかしいけど反省と今後のために書いておく。

 

我が家の暖房は石油ストーブだ。2台稼働している。息子の部屋に1台、居間(6畳×二間のふすまを開け放している、居間と食卓と私の寝室を兼用)に1台。

灯油は生協に週一で配達してもらっている。ところが年末年始で配達スケジュールが少し変わり、一週間飛ばすことになってしまった。それでも、年末最後の配達で満タンにしていたので持つと思っていたのだ。

正月、私は実家に帰省し、自宅には息子と夫が二人。夫と息子はインドア派で、室内で過ごす時間が長い。灯油の消費は予想より多かった。

月曜日、ついに最後の灯油タンクが残りわずかになった。配達は木曜日の朝。これは、間に合わないかもしれない。

 

うちには車がない。自転車で重い灯油を運べる自信がないし、配達を別の業者に電話して頼むのもめんどくさい。

そうだノラヤの灯油を借りよう、と思った。

月曜日、ノラヤの営業が終わったあと、ノラヤの灯油を一部空きタンクに入れ、運ぶことにした。1/3だけ入れて、蓋をきっちりしめ、ビニール袋で包んでバイクのうしろにくくりつけた。なんとか運べそうだった。

しかし、途中で買い物のために生協に寄って驚いた。灯油が漏れている。なんてこった!

慌てて袋を外し、持っていたタオルで拭きまくった。危ない。もうすこし時間が経っていたら、バイクに灯油が垂れて、どうなっていたかわからない。

どうしよう。ここから歩いて灯油を運ぶ?いや、もう近くだし、また乗せて運んでみよう。

生協でゴミ袋も買って、栓を力いっぱい締めた。ゴミ袋で全体を包み、またバイクの後ろにくくりつける。

やっと自宅に着いた。今度は漏れてなかった。ほっとして玄関先に灯油タンクを置くと、息子が「灯油くせえ」と言った。

ストーブ2台に給油し、ちょっと余った。

あとはこれでしのごう。多分あと2日持つ、もう休みは終わりだから家にいる時間も少ないし。

 

火曜日。

いつものように朝バイトに行く。息子は私が出勤してから起きてごはんを食べて学校へ行ったはずだ。

14時ごろ、バイトから帰宅すると、家が暖かい。ぎょっとした。まさか。

なんと、二間続きの部屋で、ストーブがつけっぱなしではないか。

このストーブは上に鍋が置ける電気を使わないタイプなので、3時間タイマーなどついていないのだ。

誰もいない部屋で、5時間も燃え盛っていたストーブ。

「なんてことしてくれたんだ………」

速攻でストーブを消し、うなだれた。灯油がだいぶ減ってしまった。

 私が、あんなに大変な思いをして運んだ灯油を……

火事にならなかったのは、本当に良かった。一歩間違っていたら、住む家がなくなるところだった。

 

帰宅した息子を責めたが、「謝ったんだからもういいでしょ」と怒って自室に籠もってしまった。仕方がない。私がどんなに苦労して灯油を運んだかなんて、どうでもいい情報だ。

頭にきて、灯油タンクの残り灯油を全部、二間続きの部屋の方のタンクに入れた。

息子の部屋のストーブはやがて灯油切れになった。仕方がないので息子はエアコンをつけた。

 

水曜日も私はバイト、息子は学校。灯油を節約するために夜は駅前のケンタッキーに行くことにした。息子と前に約束して、行けてなかったのだ。

この日、仙台の気温は恐ろしく低く、強い風が吹き荒れた。路面の日陰はつるつるに凍結し、自転車は強風であおられた。

ケンタッキーの帰り、滑る道におののき震えながら自転車で帰宅して、これで暖房なしはやっぱり厳しいと判断した。昨夜満タンにした居間のストーブから、半分、息子のストーブに給油した。

ちなみに普段は電動の灯油ポンプを使っているが、この作業は手動ポンプでないとできない。灯油タンクに逆流防止の弁がついてるからだ。

「うおー!やっぱりストーブはあったけえなぁ。エアコン、全然あったまらないよ」

息子は顔をほころばせた。

 

木曜日の朝まで、なんとか2台のストーブの灯油は持った。もう安心だ。

灯油の宅配が来て、もう安心。

 

しかしこうして、騒動を書き出してみると、私って本当にばかだなーと思う。

そもそも、灯油がないからってノラヤから運ぶの、余計めんどくさい。買えばいい。

あとから入れた灯油を手動ポンプで分けたりして、それもめんどくさかった。

思想の根本に「金を使いたくない」があるから、こういう選択をしてしまうんだろうなぁ。貧すれば鈍す。

バイクにくくりつけるみたいな危険なことするより、自転車にタンクを乗っけて、押して買いにいけばよかった。多少はこぼすかもしれないけど、バイクの後ろでこぼれるよりまだいい。

これ、買おうかな。灯油がないと生活できないのに、灯油を入手する手段が週一の宅配のみというのはいかん…別の手段もあるほうがいい。

 

そして、居間のストーブがタイマーなしなのはちょっと心配だ。タイマーと連動して消化ボタンを押すやつを自作できないだろうか?

まー、タイマーで消えるストーブを買えっていう話だよな!

ぜんぶ遺伝子のせいだ?

「私は自分が大嫌いだ。だから、結婚もしたくないし、子供も作りたくない。私のような人間の遺伝子をこの世に残したくない。」

 

今まで、こういうことを言う人に3人出会った。

この世から抹殺したいほど嫌な悪いやつというわけでなく、普通の人だ。しいていえば、ちょっと個性的でネガティブ思考かなぁ、ぐらい。

へぇ……そうですか。私は、私が大好きで、私の優秀な遺伝子をぜひ残したいと思うんですがねぇ。

などとは、いくら私でも言えない。

 

しかし遺伝子ってそういうもんでないだろうと思う。

自分の息子を見ていると、私とぜんっぜん性格も行動も違う。せいぜい、手足が長いとか体の厚みが薄いとか目が一重とか爪がそっくりとか、そういう形質的な部分で「親子だなぁ」と思うくらいだ。

好きな食べ物も違うし。

好きなアニメとか音楽とか共通部分もあるけど、それは遺伝じゃなく環境要因だろう。物心つかない頃から見せ聞かせ……なんか洗脳ちっくだな。

その、自分が嫌いで残したくないっていう方々の言う「性格」とか「人間性」だって遺伝じゃなくて、環境要因じゃないのか。

たとえば、いくら頭いい遺伝子を受け継いだって、それを活かせる環境じゃないと発現しないだろうし。

 

先日、実家に帰省して、弟と数日暮らして思ったのだが。

子供の頃は「ふたご?」と言われるくらい似ていて、常にくっついて遊んでいた、一つ下の弟。

いまやもう、性格も行動も全然違う。

弟は超インドア派だ。こたつに入りっぱなしで動かない。

一方の私は、超アウトドア派。動かないと気がすまない。帰省中も、朝はコンビニ行く名目で散歩するし、買い物は1日何度でも出かけて行くし、雪が降ったら真っ先に雪かきをする。時間があまり、体が鈍るので散歩に出かけたら、道に迷い9キロも歩いてしまった。

遺伝子は共通の部分が多いはずなのに。家族で喋る時も立ってる私、こたつに巨体の半分をつっこんで横になっている弟。これに「あと5キロ太りたい」が口癖の母も加わると、本当にバラバラな人間の集まりで、遺伝子は何をしているのかと言いたくなる。

 

高校を卒業して家を出るまではここまで差がなかったように思う。二人ともこたつに入って本を読んだり漫画を読んだり、つまり机にひたすら向かうのが好きな人間だった。(でも昔から雪かきは私ばかりしていたような……)

私がアウトドアに目覚めたのは、大学に入ってバイクに乗り始めたからだし。

本が好きな弟はそのまま本の虫のまま出版業界に進んだ。 

 

うちの息子も、そろそろ家を出る時期に来ている。自分の遺伝子を残したというより、まったく違う生物が爆誕したように思える。あとは私がアウトドアに目覚めたように、どこぞに行った先で、性格ががらりと変わるようなものに出会って、私をびっくりさせて欲しい。

 

そういえば私と弟は、スポーツ万能の父を持ったのに高校生までは運動がまったく苦手だった。体育の成績だけ悪い通知表を見ては、遺伝しなかった不思議を呪ったものだった。ところが今、共通の「マラソン」という趣味がある。はじめたのは私の方がかなり後なのだけど。もしかしたら、スポーツは「苦手」でも「好き」の遺伝子は二人とも受け継いでいたのかもしれない。35すぎるまで、わからなかった遺伝。

 

だから、遺伝ってそんな単純明快なもんじゃない。

自分がいやなやつだからって、子供が嫌なやつとは限らないよ。

そう思うのだけど、やっぱりそんなことは言えない。

「僕は眠れない」椎名誠

椎名誠さんが長年不眠症に悩まされているという。

ぼくは眠れない (新潮新書)

ぼくは眠れない (新潮新書)

 

 肉体派のイメージのある椎名誠さんが…ってこの本を初めて見かけた時はちょっと意外だった。

30年以上の不眠症。その発端は自営業(非、会社員)としてはひとごとではなかった。 

会社を辞め、執筆業に専念。これで定時に縛られず時間が自由になった!…と思いきや、執筆を優先するためにどんどんずれていく生活時間。活動時間が集中できる深夜メインになる。そして編集者は時間を問わずに電話をよこす。(のちに、深夜は電話線を抜いてしまう)

仕事が終わり、眠ろうとしても眠れない。酒の力を借りようとするが、すぐ目が覚めてしまう。ふとんで悶々とし、犬の散歩に出かけ朝食を食べ、家人が出かけた後で仮眠、午後起きてまた仕事。そんな生活になってしまったという。
そしてある日起きた、ストーカー事件。今みたいに個人情報は厳密に管理されていないから、ある病的ファンが家に来てしまった。幽霊のようなその女の姿がトラウマになり、椎名さんの不眠はさらに悪化してしまう。

椎名さんは「岳物語」のようなユニークな私小説が知られているが、SF作家でもあり、また世界のあちこちに出かけて旅行記もたくさん書いている。長時間の飛行機の移動や、旅先の環境でも睡眠は容易に乱される。

だが体を使ったアウトドア活動をして大宴会をしてキャンプをした時は、ぐっすり眠れると言う。仲間たちと酒を飲み、焚き火のそばでしゃべり続けている声をBGMにしながら、テントと寝袋という環境としては決して快適でない状況で。これ、すごく共感できる。焚き火の赤い光と薪の爆ぜる音と、誰かの話し声、これ最高にいい睡眠導入剤だろう。ましてや昼間は体使ってるんだもの。とろーっといい眠りに落ちそうだ。

不眠と言うのは、私自身は滅多に経験はないけれど、どうしても頭を離れない考え事があったり、やたら頭を使って興奮したあとの興奮さめやらない状況でなったりする。体より頭を酷使しがちな、現代的な生活をしている者だけのものだろうと椎名さんは推測する。言い方は失礼だが未開の地に住む民族には、無縁の病だろう。

椎名さんはお酒に頼ったこともあるが効果的でないと実感して以来、必要に応じて薬でコントロールをしてきた。この薬はこういうタイミングで飲めばこのぐらい効く、というのがわかっている。「眠る」という行為について研究された、専門書も紹介されている。また長年お世話になっている専門の医師にも取材し、睡眠について詳しく聞いている。

専門家の話を聞くと、私を含む一般の人の多くがやはり、睡眠の意義を誤解しているようだ。

なぜ人は眠るのか?「休むため」。 ところがそう単純ではないようだ。起床している時間が「表」、に対する「裏」ではない。車のエンジンを切って車庫にしまうというものでもない。肉体にとっては休息の意味が強いが、脳にとっては昼間受けたダメージを修復し再構築する。寝ている間も脳は活発に動いているのだ。やはり睡眠は、必須だからしなきゃいけない、削ってはいけないのだ。
私たちは、睡眠を軽視しすぎじゃないだろうか。改めてそう思った。いっぱい寝たほうがいい、ではなく、寝なきゃいけないという認識になった方が良い。

脳は昼間、細かいダメージ、ストレス、悩み、感情、もやもや、そういったものを蓄積続けずっと過ごす。そして睡眠によってインプットを切ったら、それを一生懸命直して納得いかないことを一生懸命納得いくようにして、そしてすっきり翌朝迎えるようにしているとしたら。寝不足って、脳に対する虐待なんだよな。ケガをしても手当てもせずただ血を流しっぱなしにしているような状態だ。私たち日本人が精神の病をいっぱい抱えてしまうのはその辺に理由があるんじゃないのかなあ。

睡眠についていろいろ調べてみたけれども、じゃぁどうしたら眠れるのか。椎名さんは結局、わからなかった。特効薬もない。ちょっと絶望的だけど、30年以上も不眠と付き合っている椎名さんは今後も、自分なりに試行錯誤してやっていくしかないのかもしれない。

私自身も睡眠の重要性を再確認したが、家族やアルバイトの都合早起きして、家事や他人のペースに合わせると、夜は遅くなる。睡眠時間は平均5時間半。圧倒的に少ない。
昼間はどうしても、眠気が襲ってきて昼寝してしまう。

「不眠」じゃなくて「睡眠不足」だが、ちゃんと睡眠が取れていない問題は同じだ。

もっと睡眠について本をいろいろ読んでみようと思った。

そして、私の睡眠時間を短くしてしまういろんなものを、積極的に排除していきたい。