仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな47歳、高校生男子の母。

柳絮飛ぶ

夫が会社帰りに「へんなものが飛んでいた」と持って来たので思い出した。


ちょうど今頃だった。大学3年の時のこと。ある講義の前、窓の外を見るとふわふわと雪のようなものがたくさん舞っていた。
「あれ何?」「たんぽぽじゃないよね」「雪みたい」「初めてみた」みんなでわいわいと騒いでいるところに現れた先生(当時助教授)は、微笑んで独特の深みのある声で言った。
「あれは、りゅうじょ、と言います。柳の種子なんですね」
そして黒板にすらすらと、綺麗な字で「柳絮」と書いた。
「柳絮飛ぶ、というのは今頃の季語でもあるんですよ」と語る先生。みんなは目を丸くして聞き入った。
窓の外の新緑の中、ふわりふわりと雪のように舞う柳絮と、あまり広くないセミナー室に響く先生の声、りゅうじょ、という言葉の響き、黒板に書かれた美しいチョークの文字。いまでも鮮明に浮かぶ。


その先生とはこの先生でいまや私の出身研究室のbossなんだけども。お話がいつも面白かった。学友会奇術部の顧問だと言っていきなり授業前に小ネタを披露したり、授業を早めに切り上げてみんなを博物館の喫茶店に引き連れ、ごちそうしてくれたり。この先生、カラスの研究で一時有名になる。はじめてカラスの話を聞いたのはたしかそんなお茶の帰りだった。「ある日歩いていたら、頭上からクルミが降って来たんです。見上げるとカラスが飛び去って行ってね。僕は嬉しくなりました。ああ、カラスが僕にプレゼントをくれた!と。ところがその話を友達にしたら、『お前、それはお前がカラスの食べ物を横取りしただけじゃないか』…」なんとお茶目な思考。でも、先生はその経験をただ放っておかず、カラス研究のきっかけにしたらしい。
何にでも興味をもって取り組む人は、魅力的だし、ひらめきの種もたくさんみつけることができるんだなぁ。

関係ないけど、この日記を書くために久しぶりに研究室のWebを見て、先生方がけっこう面白そうな本を書いているので、今度読もうと思った。