仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

小商いのすすめ

この本も、仙台市図書館でたくさん予約が入っていて、気長に待っていたのですよ。ちょうど年末に借りられることになった。この本と年を越せて、よかったなぁ。

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法」「ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方」と、この本で、考え方がもうまるっきり、こういう方向になってしまった。
がつがつしない、無駄にかせぎすぎない、かせげなくても、のんびり、生きる。
うん、目指してみよう。


みんなが物を、サービスを買ってくれることを期待して、ものをつくる。サービスを作る。英語がわかれば、世界を相手にビジネスができるよ。ネットを使えば、遠く離れていようとビジネスできるぜ。人の欲望を探そう。ニッチを、ロングテールを。今は便利なツールがいっぱいあるから。

……いや、無理でしょ。

なんでものが売れないの?みんなお金がないからです。それはそうだけど、実はそれだけじゃない。
今、みんなもう充分、ものはもってる。欲しいものは、手に入ってる。欲望を加速させようとしても、まだ手に入れていないものを探して探して、ほじくりだそうとしても、限界が必ず来る。その限界にもう、近づいている。みんな、余分に物を欲しがらない。草食系ってそういうこと。すでにみんな、おなかいっぱいってこと。
いやいや!グローバルな時代、日本が駄目なら別の途上国へ。そこの欲望が満たされたら別の国へ、って行けばいいでしょう?……って、地球上も限界あるし、限界に近づくスピードはどんどん早くなっている。


いつまでも経済成長を期待して、経済成長するものだと思って、ビジネスを、生活をそれに頼ろうとするのは、無理なんじゃないの、と著者は言う。
経済成長なんて、今からもう、望めない。


じゃぁどうすればいいのか。
被災地は「復興」の二文字目指してがんばっている。経済成長を望むななんて言われたらみんな怒るだろう。私も「経済回してNO MORE 自粛!」ってキャンペーン、好きだったけど、自分自身はまともに経済を回していたかどうかは果たして疑問である。だって、お金ないんだもの。

被災地のある製品を買ったことがあった。あまり好みでなかったのでもう買わなかった。そうしたら「なぜあなたはリピートして買ってくれないのか?弊社のこれまでのお客様はリピートしたのに」と、メールが来た。手の届く知り合いでない以上、他に選択肢がある以上、好みじゃない製品は普通買わないのだ。おそらくその会社は、以前は知り合いや近所など手の届く範囲が主なお客様だったのだろう。小商いのすすめの文中に出てきた、お惣菜屋さんや、帽子屋さんや、駄菓子屋さんのように。実際、震災前に私は知らなかった。商いの対象がひろがるって、そういうこと。競争に勝たなきゃいけないってこと。


そんなわけで、著者が提唱するのは、手の届く範囲が相手の「小商い」だ。身の丈の稼ぎ方だ。
全国を、世界を相手に、たくさん稼いで…というのは、みんな夢見るし、みんな煽る話だし、ネットのお陰で可能性は広がったとは、思うよ。でも、多分それができるのは、自分じゃない他の誰か。諦めた時点で終わり?そうかもしれない。でも、ほんの小さなパイを争って、疲弊するよりは、家族を大事に自分を大事にして、生きていけるほうがいい。かつて、著者の生まれ育った町にあった、お惣菜屋さんや帽子屋さんや駄菓子屋さんのように、どう考えても余分な儲けは出ない、もうからない最低限のお金を。
かつてお金は、生活のためにかせぐもので休日は働いた体を休めるためのものだった。それがいつか、休日にやるいろんなことができて、人々は、生活に必要なもの以上に稼ぐことを目指すようになった。(まぁ、主婦業は休日のほうが忙しいので、体を休めるなんて無理なんだけどね。)
身の丈にかせぐということは、余暇に遊んだり旅行したりということができない生活。うーん、それは私も嫌だ。でも、無駄に高級な車を買ったり、質に合わない高価なものを買ったり、高級なものを食べたり、そういうのを目指さずに、まずは、余暇を「身の丈」にしてみよう。

多分、今の若い人はそんな空気をとっくに読んで、生き延びる戦略として草食系に生きて、「小商い」を目指しはじめていると思う。無駄に意識の高い、バブルを忘れられない大人に洗脳されなければ。
息子とか見てるとそう思う。

問題は。
駄菓子屋や帽子屋をやっても、どう考えても生きていく最低限すら稼げないところだ。
身の丈だけかせぐ方法が、わからない。
最低限生きる程度の商いをどうするか。そのへんの答えがナリワイとか、今後色々、出てくると思う。「小商いのすすめ」の後は、具体的小商いノウハウが、これから共有されていくんじゃなかろうか。
楽しみだね。私も、考えていきたい。