仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

「コミュニティデザインの時代」「コミュニティデザイン」

「コミュニティ」ってなんだろう。どうやって作ったらいいんだろう。
コワーキングスペースにおけるコミュニティ、という文脈で、しばしば考えてきた。
コミュニティのあるスペースがコワーキングスペース、というけれど、そのコミュニティってなんなのさ、というのが実はよくわからない。
例えば、あるコワーキングスペースは「コミュニティづくりのためにドロップインは当分受け入れず、利用者は会員限定」としている。コワーキングスペースを作ってからそこに集う人というコミュニティができるケースもあるし、既存のコミュニティに乗っかってコワーキングスペースができる場合もある。とにかく「コミュニティ」ありきらしいけど、もやっと人が集まっているイメージしか持てない。
コワーキングスペース運営のためには人が来ないと困るから、コミュニティをちゃんと作る方法、みんな知りたがっていると思う。私もその一人。


コワーキングスペースソシラボ」でこの本を見つけて、リブライズを利用して借りた。

とてもおもしろかったので、同じ著者ー山崎亮さんの本をもう一冊読んだ。(こちらは仙台市図書館で借りた)

「コミュニティデザイン」の方が先に出版されたもので、山崎さんがコミュニティデザインを意識するようになっていった、仕事の事例がメインになっている。「コミュニティデザインの時代」の方は、山崎さんがコミュニティデザイナーを名乗ってから、講演等で寄せられた質問に対し自分の考えをまとめていって書いた本。なので、山崎さんの考えの芯がどのようなところにあるかを知ることができ、より生々しい。成果の陰にある、本音や裏話などが出ている。
なので、「コミュニティデザインの時代」の感想を中心に。

なぜコミュニティなのか……という1章は、「ナリワイ」の伊藤さんの主張と通じるところがあって、やっぱりみんな、同じようなことを考え始めているのだなと思った。みんなで協力してやっていた道路づくりや家造りを、行政・専門家がやるようになった。そうなると住民は「お客さん」となり、文句を言う側になる。地域の人がみんなで協力して作るなら、技術も身につくし、何かあったとき自分達で直せる。文句を言わず、いろんなことを「自分ごと」にする。(あ、これは先日の「ツクルバ」の講演で出てきたことですね)しかし、昔のがっちり強固な繋がりは現代人にはあまりに窮屈で生きづらい。かといって、今の、死にそうな人がいても誰も気付かないような、地域のつながりがなさすぎる状態も心もとない。現代人にちょうどいいつながりとしての「コミュニティ」が必要だと考えられるようになってきた。
でも、そもそもコミュニティってなんだ?という点については、実はやはり定義ははっきりしていなくて、「場所」と「人々」というキーワードがある程度らしい。コミュニティの分類としては著者は、テーマ型、地縁型、共益型、社縁型、などに分けていた。IT技術者やRubyのコミュニティはテーマ型コミュニティだろう。一方、コワーキングスペースのコミュニティはテーマ型コミュニティに地縁型コミュニティが合わさったものとみなせるんじゃないだろうか。特定のテーマへの志向もあれば、その場所にいる人という要素もあるから。
そして肝心のコミュニティを作り、維持する方法……コミュニティデザインの技術の実践はどうやったらいいのか。「コミュニティデザインの教科書は作れない。ケースによってやり方が変わるから」と著者は言う。そりゃそうだろうなぁ。挙げられている代表的な内容は、ヒアリング→ワークショップ→チームビルディング。コワーキングスペースのコミュニティづくりとはおそらく全然手段が違うけれど、多くの人に「参加している」「自分の意見が反映された」「自分がやらなきゃいけない(お客さんじゃない)」と思ってもらうのがポイントなのは同じだろう。作る過程からヒアリングして意見を取り入れていくのが重要なんだな。建築家に任せて、こうすればみんな使うだろう!と作った立派な建物が、誰にも使われない事例もあることだし。
著者の山崎さんは、転勤族で、ふるさとがないそうだ。Tシャツ坊主にひげ面ぽっちゃり体型サンダルばきで、さまざまな地域に出かけて行って土地のものを食べて温泉に入って、まちに溶け込むことができる。そういう能力は山崎さんの素質なんだろう。そんな、どこでも溶けこむためのコツのようなものもいくつか書かれている。コミュニティデザインに求められている能力が列挙されていたのでためしにチェックしてみたら、ほとんど×だ。特に、基本的な能力とされる「その人がいるだけで場が明るくなる」「常に新しいことにチャレンジする」「睡眠時間が短くても生きていける」……全部「×」。特に最後は◯になることは決してない。私にはコミュニティデザインは無理だなぁ。もっさりファッションで和ませるくらいしか……
急に文体がくだけてきたけど、このブックレビューも意を決して睡魔と戦って書いている。日付が変わる前に寝ないと駄目な人間なので、もう寝ます。