仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

長嶋有「ねたあとに」「猛スピードで母は」「長嶋有漫画化計画」

私は図書館で本を借りる時、まず著者や書名をどこかで知って興味を持ち、図書館に蔵書があればネットで予約して借りに行くという流れが基本。活字嫌いの本嫌いで、本棚の海を長時間回遊すると、自分がすごく馬鹿に思えてきて、気分が悪くなるので、ピンとくるのがなければすぐやめる。(同様の理由で本屋も長時間居れない)
そんでもたまーーーに、本棚を眺めて見つけて、面白そうなので借りることもある。
「ねたあとに」は、仙台市図書館で出会ったそういう本。手に取って数ページ読んで、借りることにした。書名を見て息子が「あれ、『ねたあとに』って新聞で見たことある」。朝日新聞に連載されていたらしい。なーんだ、だからピンときたのかも。ん?しかし夕刊に連載とある。うちは朝刊しかとってないぞ。記憶違い?高野文子の絵をみたような気がするんだけどなぁ。ま、いいや。息子がみたやつは広告かもしれない。
書き出しに巨乳が出てきたので「エロい本かも」とわくわくしたが、違った。
実際は全然エロくなかったが、すごく面白かった。こういうことやってみたい、と思うことばかり次々と出てくる。大人がボロい山小屋に集まって、やってくる虫やら人やらがいっしょくたになって、延々と遊んだり食べたり喋ったりする。出てくる遊びがまた「よく考えるなこんなの!」みたいな、真似したくてたまらなくなる類のもので。「たほいや」を思い出した。筆記用具とか雀牌とかありもので延々と遊ぶの。男女が一つ屋根の下にいるのに恋愛にもなんにも発展しない、気楽で泡みたいな日々。普段は仕事してる人たちが、夏の何日間をこんなふうに過ごして、東京に帰っていく。
読み進めて気づく。あれ、これ、事実か。読み終わった後ネットで調べると、長嶋有さんとお父さんはこういう小屋を本当に持っていて、虫のブログもあって、いろんな人が滞在してて、オーエ賞も受賞してて、大学教授の叔父もいて、そういうことだったのだ。


そうやって長嶋有について調べたら芥川賞を受賞した人だったので、受賞作を仙台市図書館で予約。さらにおもしろそうなのもあったので予約。読みました。
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サイドカーに犬」も収録。
「ねたあとに」のもったりした楽しさを期待していたので、あら、違うと軽い驚きとともに読んだ。でも決して重苦しくない。出てくる人物がみんな、魅力的で面白い。私はお母さんなので「サイドカーに犬」の家出したお母さんに自分を重ね(残念ながら愛人の方よりお母さんの方が性格的に私に近い)、「猛スピードで母は」の母に自分を重ねた。毅然とした強さをもった女の人の描写を読むのは、気持ちがいい。
サイドカーに犬のお父さんはすごく駄目な人間で。そりゃー家出したくなるわ、とお母さんに同情する私は思うのだけど、子どもたちはお母さんといるより、愛人がいた日々の方を楽しむ。お母さんとしてはその事実を知ったらショックだろう。
配偶者が駄目人間気味な場合、せっかく優秀な頭脳を持って生まれついた子供を私がしっかり育てなくては!って母親としては勢い込んでいたりするけど、子供に悪影響があろうとも、そういう人といることも子供は楽しいもんなんだよね。だから、時にはお母さんはいなくなって、配偶者に任せてしまってもいいんじゃんと思った。

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そしてこっちは、小説の方を読む前に読んじゃいけないのかもしれないけど、読んじゃいました。ほんと、ますます興味を持ったので、これに載っている小説は引き続き図書館で借りて読もうと思ったのでした。