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仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな46歳、中学生男子の母。

東北新幹線の車窓から

日々雑感

東側の席だったので、陽が差し込んだ。東京行きの新幹線。晴れ。窓の日除けを、太陽が目に入らないぐらいの上から三分の一まで、閉めた。
旅費節約のため各駅停車の遅い便なので、道中は長い。うとうとしたり、本を読んだり、そして窓の外を眺める。
車窓の眺めは、好きだ。多少眩しくても、なるべく外を見たい。
この景色は、いまこのへんだな、などと考える。毎回、新しく面白いものを見つける。そこに暮らしている人に思いをはせる。あ、この道バイクで走ってみたいな、とも思う。山ばかりの景色がやがて平野になり、建物ばかりになり、建物が線路のそばまで迫ってきて、建物の隙間をようやく線路が走るようになり、やがて新幹線は地下に潜る。その景色の移り変わりは変化に富んで面白いし、出張などない私には、しょっちゅう見られるものではないので、さあ都会に来たぞと、いくぶん高揚感を覚える。


しかし、宇都宮を過ぎた頃。本を読み終えてぼんやり中身を反芻していると、
すうっと、かたわらの日除けが下げられた。えっ、と窓を見ると、わずかに線路がみえるだけになっていた。私の後ろの席の人が手を伸ばして、日除けを下げてしまったのだ。
眩しかったのか。なら仕方ないけど、太陽の高度からして、全部閉めなくてもいいじゃないか。これから、景色がいちばん変わっていく面白いところなのに。
本は読み終わったし、ネット環境がないからスマホもいじれないし。ちらちらと、茶色と縦線の地面を見ながら、残念に思いながら、半分寝て時間を過ごした。


やがて、新幹線の向きが少し変わり、太陽は窓から入らない位置になった。
あの、もう、開けてもいいんじゃないかな。恐る恐るうしろの席を見ると、誰も座っていない。あれ。降りたのかな。座席の三列あるうちの通路側には、中年の女性が腕組みをして、しかめつらで、目を閉じていた。
閉めたの、あの人かな。
私は恐る恐る日除けを上げた。半分開けて、少しののち、全開にした。
子供みたいに、窓に張り付いて、外を見て、閉められないようにした。
既に山より平野が多くなっていた。「りんかい線」と書かれた電車が同じ速度で並んだ。小さな子が手を降っている。こちらも振り返した。
建物が増え、ビルが高くなる。空が広くなる。荒川。とうきょう。家の密度がいっきに増す。そろそろ地下に潜る。
ちょっとは楽しめた。ふふん。降りるしたくをするとき、後ろの女性と目が合った。相変わらずしかめつらで、やたら長いヴァンクリーフ&アーペル*1のネックレスをしていた。

*1:高級ブランド。多分50万越える