仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

西加奈子「きいろいゾウ」

映画にもなったおはなし。西加奈子のエッセイを読んでいて、この人の小説読んでみたいなぁと思っていた所、図書館でとおりかかって借りた。

夢中になって読んだ。面白かったよ。
ただ、これは人によって読後感が違うんだよな、きっと。
Amazonのレビューでも、ほっこり癒し系素敵なほのぼの小説、みたいに解釈する人が多いみたいだけど。
田舎の古民家に住みはじめた(映画版を見ると『おおかみこどもの雨と雪』で主人公らが住む家みたいだ)、新婚の夫婦。小説家志望でデイサービスのパート勤務。妻は働いていなくて、頭があまりよくない。四面楚歌という言葉もしらないし、9歳の子ども相手にセックスを連発するし、生理になりそうなのにタンポンも使わず水着になったりする。でも料理はうまい。ああ、男の人ってこういう女性が好きなのかもね、という時点で私はかなり反感持つんだけど。妻は実は秘密がある。そして、この2人を軸にいろんな人がとりまく。やがて、ほっこりのはずが危機が訪れる。

んで、ネタバレになるけど。(ネタバレ注意)
まぁハッピーエンドなわけですよ。
私は読んだ後すごく悲しくなった。
はい、激しい恋も、道に外れた恋も、いいかもしれないけど、人はおさまるところにおさまって幸せにくらすのですよ。という。
異端を否定される。
異端に生きたい私は悲しくなる。
DVを受けている中年婦人が「殴られても夫を愛している」というようなことを言ってそれが納得されるようなところも気に食わない。
そりゃ幸せはひとそれぞれだけど、私はDVもモラハラも大嫌いだ。断固闘いたい。そして戦いたいけど戦えない自分が悔しい。

そう、ほっこりまったり幸せ。
に、収まっている方は、この本を読んで「やっぱり夫婦っていいね」と思うことでしょう。しみじみと。そしてこれからも幸せに生きることでしょう。
でも私は、手に入れられない幸せエリアにいる人達がふわふわと浮いているのを見せつけられるようで、ただただ、悲しかった。

いかんな。
私はまだまだ、覚悟が足りない。この程度で悲しいというなら。