仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

持ってしまって持てない私の感想「持たない幸福論」phaさん

滅茶苦茶対称的のような、2冊の本を読んだ。

1冊め、phaさんの最新刊。
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最初の3つの章が、まず、こんなんだ。

1. 働きたくない
2. 家族を作らない
3. お金に縛られない

しょーじき、「いいなぁ……」である。そうやって生きたい。
私は家族を作ってしまい、仕事もある。しかも仕事はコワーキングスペース運営という収益のない事業と、ほんのすこしの自営と、アルバイト。3つかけもちし、ひーこらひーこらと、時間をやりくりして、毎日バタバタと過ごし、疲れ果て、それなのに、100万も稼げない。

できるだけ働かずに生きていたい」とずっと思ってはいるんだけど、やっぱり現金が完全になくなると生きていけなくなるので…(中略)…細かい小遣いかせぎをちょこちょこやっているという感じだ。
でもまぁ、あんまり働く気がないので収入は低い。年収は大体毎年百万前後くらいだ。
(p.108)

あまり仕事をしたくなくて小遣い稼ぎで100万稼げるphaさんと、毎日へろへろになっても100万稼げない私。
この本の冒頭で「生きるのが辛そう」と言われてしまうような、家族を作り、仕事を持ち、お金を稼ぎ……のうち「お金を稼ぎ」が既に欠けてしまっていていっそう幸せじゃないのが私なのだ。


そう。幸せってなんだろう。私は何をしていると幸せなんだろう。
この本の裏表紙にも書いてあるけど、

自分が何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるかをちゃんと把握すること

「何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるか」は、人によって全然違うし、それが当たり前だから、誰かも価値観に合わせる必要なんてないのだ。
そしてそれが多少外れていても昔みたいに村八分になったり通報されたりするのは少なくなってきた。だからちゃんと把握して生きようよ。そして幸せになろう!これがこの本のテーマなんだと思う。


現実は難しい。一度レールに乗った人生は外れづらい。いい高校行っていい大学行っていい会社に入って、というレールを外れるのはずいぶん簡単になったけど、家族を作ったあとのレールを外れるのは、ものすごく大変だ。特に子どもがいると、よっぽどの理由がないと難しい。家族は紙切れ一枚でやめられない。
家族を作ってしまうと、「働きたくない」もできないし、「お金に縛られない」も、できない。そりゃ配偶者も子どもも同じ考えどうしなら可能かもしれないけど。なかなかそういうレアケースに自分がラッキーにも該当するわけじゃないので。自分だけ外れて生きるわけにはいかないのだ。

だから、独身のみなさまにおかれましては。家族を作る前に「何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるか」を考えておいたほうがいいと思う。
と、言ったって、私も昔は、子どもを産んで育児と家事に専念して専業主婦をするのが幸せなことだと思い込んでいたので、その立場になってみないとわからないんだけど。


改めて、自分は「何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるか」を考えると、バイク乗って旅するとか、温泉に入るとか、ふわふわのお布団で寝るとか、一人でふらっとしんみり飲める店に行って飲むとか、テントの中で一人寝袋に入って缶ビール飲んでるとか、焚き火してるとか……私は、一人で且つふらふらと動きまわっている状態が好きなんだと思う。


もしも、そんなことをしながら、基本一人で生きられるとしたら。やっぱり孤立しないための「つながり」は大事なんだとおもう。
そのへんから、
4. 居場所の作り方
につながっていく。

この4章は、これはコミュニティの関わり方全般にすごく参考になると思ったので、列挙しておこう。

1.複数の場所に顔を出す
2.合わない人とは棲み分けをする
3.人の流動性を保つ
4.ゆるさを保つ
5.自分が主催者になる
6.空間(ハコ)をキープする
7.用がなくても気軽に集まれる
8.みんなで一緒にすることがあるといい
9.人の悪口はほどほどにする
10.滅びたらまた新しいのを作ればいい

なんだか字面を眺めているだけでアルカリ性の温泉に浸かっているようなゆるい心地よさを感じてしまうのは、phaさんが好きすぎるからだろうか…


1.を「囲い込まない」、2.を「去るものは追わない」、と書き換えてあとはそのままで、コワーキングスペースのようなコミュニティ運営者心得にもなると思う。

ところで、話は前に戻るが、働かず、お金にも執着せず、それでいてどうすればphaさんみたいに年収100万も得られるようになるのだろう。これにたいする答えが「本を読む」ことなのだろう。帯の見返し側に、ひっそりと大事なことばが書いてある。

知識は人を自由にする。
いろんな本を読んで、
世界にはいろんな価値観や生き方があると知ることができて、
自分の生き方にある程度自身を持てるようになった。
本を読むことで、
僕は生きるのが楽になった。

知識は武器だ、とよく言われるけど、「人を自由にする」という表現ははじめて聞いた。なんだかこの言葉だけで自由になったような気分だ。私は40歳前はほとんど本を読まない人生を送ってきたのだけど、もしも結婚前に本をもっと読んでいたとしたら、結婚して育児して専業主婦が自分に合わないことなんてもっとはやくわかっていたかもしれない。
そしてこのままだと、本を手にする時間もなく、ひたすらバタバタと働き家事に追われ…それだけで生涯を終えてしまいそうだ。だがきっと他人からすると、無駄な時間が大量にあるのだろう。そこで本を読もう。知識を得よう。まずはそこから。
相変わらず活字追うのは苦手なんだけどね……