仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

ずっと読みたかったエンジニアとキャリアウーマンのラブストーリーのレディコミと再会した

たしか自分が大学生の時だったと思う。20年以上前。寮の先輩が置いてあるマンガの中にあったのだろう。レディースコミックスで、「流しのセキュリティエンジニアと、キャリアウーマンのラブストーリー」があった。
レディコミなのでそっちのシーンばっかりで、その合間にそのエンジニアがキャリアウーマンを手伝って華麗にトラブルを解決してみせるという内容だと、記憶していた。

て、後で自分が実際にシステムエンジニアになってからその内容を思い出し、あれはないよなぁ、と思ったけど、また読んでみたいなーネタになるだろうし、となにかの折りに思い出していたのだ。

で、先日、ふとまた思い出して、検索したら見つけてしまった!
タイトルも忘れていたけど、漫画家が伊万里すみ子であることをようやく思い出し、数ページの立ち読みで確信できた。
それが、これである。

1990年。25年前のマンガだ。
ついにあのマンガがまた読める。Kindle版を買って懐かしさに身もだえしつつ読んでみたら、ものすごい内容だった。
まず、「流しのセキュリティエンジニア」ではなかった。トラブル解決シーンも1回だけだった。

(以下、勢いであらすじを書いてしまった)

  • 金沢に出張したOA機器メーカー勤務の早苗。仕事ひとすじで「恋愛しない、結婚しない、仕事する」がモットー。旅先でワイルドな男性に運命的な出会いをし、彼の飲酒運転する車に乗せられ町外れの旅館にチェックインし能登の冬の荒海のごとく激しく愛しあう。
  • 男性の名は村上圭。漁師みたいなことをしている謎の男。彼が帰る家には和服姿の女性が。未亡人であるところの彼女は村上の命の恩人らしい。
  • 早苗は北陸滞在中、村上と楽しく激しく濃厚な日々を過ごす。しかし村上は寝言で和服の未亡人の名をつぶやく。先の無い関係だと知った早苗は、旅先だけの関係と割り切り、滞在最終日にさよならを告げる。
  • 東京に戻り、相変わらずバリバリ働く早苗だが心にはずっと村上が。一方仕事ぶりが評価され「女なのに大丈夫か」などと今だとセクハラになりそうな会話がなされるが、課長に昇進。
  • 新規顧客開拓のため、またも金沢に出張することになった早苗。村上への思いが募る。連絡もせず前訪れた店で再会。めでたく旅館にGo。
  • しかし旅館で迎えた朝、部下に電話を入れると客先でトラブル発生の連絡が。パソコンがウィルスに感染してしまったという。ちなみにインターネットもない時代です。電話を小耳にはさんだ村上「機種は?」そして、早苗とともに現場に行ってさくっと応急処置を行う。村上の正体に興味を持つ早苗。部下に命じて調査させる。
  • 旅館から部下に連絡した早苗は衝撃の報告を受ける。村上はT大工学部卒の優秀すぎるエンジニアで、業界では名前を知らない人はいないほど。最大手N社で部長代理まで上り詰め順風満帆のはずが、とんがりすぎて、派閥争いの道具にされてしまう。
  • 嫌になった村上は姿を消す。転職なんて滅多になかった時代。村上は死ぬつもりで北陸の地を訪れる。会社が嫌になったら行方不明になって自殺するしかなかったのだ。そこを未亡人に助けられ、彼女と愛し合って生き続けることにしたらしい。
  • とにかくそんな村上の過去を知って衝撃を受ける早苗だが、村上もそんな調査をされていたことに怒り、「あんたも俺を連れ戻しに来たのか」と早苗を平手打ちして去る。
  • もう村上とは終わったと脱力した早苗。東京に戻ってもぼんやりしている。そんな彼女に未亡人がいきなり会いに来る。「私のことを知っているか」だけ確認しに来たという。しかし早苗は村上に何かあったのかと気づく。
  • なんと村上はまたも消えていた。天才エンジニア村上圭を手に入れようと多くの企業が彼に接触、嫌になってしまったのだ。
  • 早苗は会社にFAXで辞職願を出し、車を金沢へ走らせる。未亡人の所に行ったが彼女になじられ殴られる。「そうだ、あそこなら」早苗が目指したのは2人が初めて一夜を共にした旅館。
  • 村上はそこで毎日海を眺めていた。波が打ち寄せる岩場の崖の上で、互いの思いを確かめ合った2人。だがそこへ怪しい影が2人!村上を探していた追手が!
  • 「どこまでもついてくるか」「どこまでも」「あの世までもか?」「あなたが望むなら」2人は崖から飛び降り心中。
  • 愛してる……のモノローグとともに沈む2人。しかし2人は死ななかった。「今俺たち死んだよな」「えっ」「俺のそばには君がいるんだ」荒れ狂う波の上に顔を出した2人は水面で熱い抱擁。
  • どうやったか知らないけど東京に戻って、早苗は会社で改めて辞意を告げる。「君の抜けた穴はどうする?」「彼が仕事を探しています。村上圭です」名前を聞いただけで嬉しそうに黙りこむ上司陣。さすが天才エンジニア。「これからは恋愛する、結婚する、子ども産むがスローガンです」と言い放って会社を去り、走るその先には腕を拡げて待つ村上が。めでたしめでたし。


レディコミにつっこんでもしょうがないのはわかってんですが、まー素敵。
レディコミって『サルでもかけるまんが教室』でも「女のエロまんが」って紹介されてるぐらいだけど、正直、エロいとこは綺麗でもないし楽しくもないし…村上圭が魅力的じゃないんだよなぁ。粗暴な口をきいて、ちょっと強引で、ワイルドで、ちらりと見せる優しさ…そんな男が受けてた時代だったということなんですよね。村上圭はたしかに男前だけど早苗と彼はセックスしただけ。ということは結局それが良かったということらしい。『さるまん』であったようにセックスなのにひたすら全部「愛」で説明をつけようとしているところはまったくその通りで、さすがレディコミだ。いや、さすが『さるまん』か。
そして女性の望む幸せとして、T大出身エンジニアと結婚して仕事を捨てることが当然のように描かれてて、これも当時の主流な考えだったんだなぁと、と呆然としてしまいます。ところでエンジニアの派閥争いってなんだ。やっぱりvim派とEmacs派だろうか。
早苗さん当時おそらく20代後半〜30前半だから、今だと50代?
いろいろあるけど、やっぱり女性にとっては多様な生き方ができる世の中に少しづつ変わって来ているのかもしれないと、私はちょっとだけ思いました。ちょっとだけよ。