仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな47歳、高校生男子の母。

サイエンス系イベント、一週間に3つ出た

先週、偶然にもサイエンス系のイベントが3つもあり、全部聞いてきた。それぞれ主催も違い特色があったので、イベントを主催する側の視点での感想と、3つを比較して思ったことを書く。

1. 理研よこはまサイエンスカフェ「免疫は体を守る?それとも病気にさせる?」

日時:1/16(火)18:00〜19:30
講師:統合生命医科学研究センター茂呂和世先生、東北大学農学研究科 野地智法先生
場所:au SENDAI イベントスペース

www.yokohama.riken.jp

理研が主催のサイエンスカフェで、いろんなところに出張して開催しているそうだ。Webで事前申し込み制、人数50人ぐらい。東北大学サイエンスカフェよりは年齢層が若い印象。素晴らしいのが、サイエンスカフェで本物のコーヒーが出てきた!会場となったauのイベントスペースの一階はカフェなので、こういうことができる。

司会は理研の女性スタッフの方。SNS拡散歓迎、途中つっこみ可能と最初に明言されていた。(ただし実際につっこんだのは一人だけだった)

茂呂先生、野地先生と順番に話して1時間くらい。茂呂先生は寄生虫の標本を持参、野地先生は川渡からもってきた牛の乳に試薬を入れる実験があって賑わった。お二人とも免疫の最新知見について話してくださってとても興味深かった。19時からの質疑応答の前に、司会から改めて二人の人となりにも触れた紹介があった。研究者以外の素の姿を紹介して、聴衆に親しみを持ってもらう手法はとても良いなと思った。

質疑応答で「免疫力を高めるには」などと言う人がいても、「免疫力なんてものはありません」と私ならいいそうなものだけど、慎重に言葉を選びつつ研究成果を紹介していて、そうか、こういう風にしないと一般向け対話にならないんだなぁと思った。「ガンとはなんなのですか」「戦時中にあおっぱなを垂らしていたのはあれはなんだったのか」と、免疫って関係あるのかなぁという質問が出たりしたけど二人の講師の先生はちゃんと答えていた。

最前列のおじいさんが(その人が唯一講演中質問した人なのだけど)、講演の最中にどでかいスケッチブックにでかでかと野地先生の似顔絵を描き始め、終わったあとそれと自作の絵葉書?をプレゼントしていた。非常に奇妙だった。

auのイベントスペースはとてもいい会場だった。講師と聴衆の距離がほどほど近くて、壁全体がモニタになっていてそこにスライドを映す仕組みになっている。講師がスライドを指して説明しやすい。また、会場が明るくても見やすい。ノラヤもそうだけど、スライドのために会場を暗くすると息苦しく感じる。楽しんでもらうためには明るさも大事だと実感した。

会場が一番町とはいえ、仕事帰りの会社員はいなかった。やはり18時からだと、時間に自由がきく身分でないと厳しいようだ。

理研よこはまサイエンスカフェではアフターカフェもあるらしいということで楽しみにしていたけど、サイエンスカフェ終了後、auの宣伝になったあたりでみんな帰り支度をして、なにごともなく解散してしまった。 

ところで理研よこはまサイエンスカフェのフライヤーがとても素敵だ。毎回、講演者をイラストにしてこのようなフライヤーにしているらしい。とても優しげでかつ目を惹く。一見サイエンスに関係なさそうな絵だが、ちゃんとテーマが隠れているのだ。こういうセンスあふれるデザインをプロに頼めるお金がついているのはすごいなぁ。

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2. 東北大学サイエンスカフェ 第148回「食べ物を美味しくする加工技術 ~故きをたずねて新しきを知る~」

日時:1/19(金)18:00〜19:00
講師:東北大学大学院農学研究科 藤井智幸先生
場所:東北大学青葉山コモンズ
cafe.tohoku.ac.jp

何度も参加した東北大学サイエンスカフェだけど、今回は、たいへん微妙だった。

先生の講演内容はとても興味深く、声も素敵でわかりやすかった。食べ物の保蔵(保存+貯蔵)の話題なので私自身とてもためになった。参加者も、会場が違うせいか圧倒的に平均年齢が高い。私のテーブルなんて私より若い人ばっかりだった。だから、ディスカッションタイムが楽しみだった。

しかし、講演が終わった後、通常だと司会が一旦切って、テーブルごとディスカッションに入るのに、今回いきなり先生が話し終えるやいなや「いいですか」と質問したおじいさんがいて、そのまま質疑応答タイムになだれこんでしまった。司会とファシリテータがいたのに、全然、進行しない。そのまま先生は「時間の限り皆さんからの質問受けつけますよ」と言ってしまい、これじゃぁサイエンスカフェじゃないじゃん!と忸怩たる思いで聞いていた。1人あたり3つくらい質問をして、先生を独占してしまう。その間他の50人近くは聞いているだけだ。そういう事態にならないよう、テーブルごとに質問や意見をまとめるようになっているはずだが……テーブルごとのファシリテータはアンケートを配布し回収するだけだった。

質問は「そもそもなぜ高血圧に塩分がよくないのか」とか、今回のカフェの内容には関係なく、見た内容でたまたま思い出したかのようなものが出てくる。それは農学部の先生にじゃなく病院で聞いたらいいのではと思うが、まぁそれは、いつものサイエンスカフェの質問者たちの常だ。何度もそういう光景を見て思うのは、大学側がサイエンスカフェに期待することと参加者の求めるものの方向性はだいたいずれている。

もう一つショックだったのが、会場の暖房が19時で切れてしまったことだ。冬の青葉山を暖房なしで夜過ごすなんて、ありえない。参加者は次第にもぞもぞと動いて上着を着込んだ。青葉山コモンズ、初めて行ったけどキレイで天井が高くてひろびろとしていた。雰囲気はいいのに居心地が悪くなってはどうしようもない。

とにかくたいへん勉強になった。

3. 東北大学大学院医学系研究科主催 未来型医療関連イベント・市民公開講座「エピゲノムって何だろう?‐記憶される生活習慣の科学‐」

日時:1/20(土)14:00〜15:30
講師:東京大学先端科学技術研究センター、東北大学大学院医学系研究科 酒井寿郎先生
場所:東北大学片平さくらホール

www.med.tohoku.ac.jp

こちらはサイエンスカフェではないけれど、東北放送のアナウンサー林朝子さんが「聞き手」として参加されるということで、ちょっと違う進行が聞けるのではと思い参加した。

80〜90人くらい集まったが、驚いたことに勤労世代、特に30〜40代女性が多く参加していた。女性が1/4くらい。しかしどうも雰囲気が違う。病院、医学部関係者のような感じがした。内部の人に声をかけたのかもしれないが、土曜日昼間だからこそ参加者の構成が違っていた可能性もある。

前半が酒井先生のお話、後半の最初に林さんと酒井先生のトーク、その後質疑応答という構成だった。

林さんが最初に「ど文系です」と宣言していて、酒井先生も「ど文系」にもわかるよう、平易なたとえや事例を使いつつ、エピゲノムという聞きなれない言葉が何なのか、それが我々にどうかかわるのかを説明してくださった。いろいろ考えさせられたし希望も感じる話だった。林さんと酒井先生のトークは、林さんが疑問に感じたことを酒井先生が答え補足説明する。メタボを予防していくには、健康でいるには、という身近に引きつけた話題に持っていき、そして東北大学の未来型医療の今後に期待を抱くという流れだった。(うまいなぁ……)質疑応答タイムでは、皆、的を得た質問で、ちょっと驚いた。やっぱり一般人でなく医療関係者か大学関係者か研究者が多かったのだろうか……

ちなみにこのイベントのフライヤーもピンクでキレイなんだけど、下半分のアリスのイラスト、これはCellの姉妹誌Molecular Cellの表紙になったものらしい。講演者の酒井先生の論文を元に製作されたそうだ。(という余談まで言及する余裕は当日なかったようで残念です)

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まとめ

3つ参加してみて思うのは、こういうサイエンスイベントが仙台では東北大学を中心にばんばん無料で開催されていて、そして目からウロコのような面白い話がたくさん聞けるというのに、シニアを中心とした暇な世代が主な聴衆になってしまい、聞いた話を今後の生活に活かしたり将来の職業選択に活かしたりできるような若い世代、勤労世代が少ない。本当にもったいない。しかし土曜日に開催すると、それなりに勤労世代も来るようだ。

そもそも、サイエンスイベントの存在をみんな知らないんだろうし、知っていても「学ぶ」行為にまとわりつく「まじめ」なイメージを否定的に思う人が一般人には非常に多い。わざわざ会社帰りに、休日に、行くようなことないでしょ、というのが普通のひとの感覚だろう。

ノラヤ界隈にいると、学ぶことに貪欲で好奇心旺盛な人が多い。それはとてもありがたいことなのだけど、ついつい一般の感覚を忘れてしまう。

学ぶって面白いし圧倒的に人生で得するし、クソな非科学的な商品や療法に騙される人も減って、社会全体としていい方向になるだろう。もっとも、非科学的なもので商売している人も呆れるほど多いから、商業とは相性が悪そうだが。

なんとかみんなが学びにもっと引き寄せられるような仕組みがあったらいい。心理学や行動科学も動員して研究が進めばいいなと思う。

そしてサイエンスカフェの手法も洗練されていけばもっと良いのではないか。たとえば参加者が同じであっても、講師と参加者の距離や会場の明るさによって、そして司会が講師をどのように紹介するかによって、その後の進行、雰囲気がかなり変わってくるように私は感じる。だれか研究してください。

そういう研究成果をもとに、サイエンスカフェ専用の会場、できたらいいな、作れたらいいなと思う。夢だ。