仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

ぜんぶ遺伝子のせいだ?

「私は自分が大嫌いだ。だから、結婚もしたくないし、子供も作りたくない。私のような人間の遺伝子をこの世に残したくない。」

 

今まで、こういうことを言う人に3人出会った。

この世から抹殺したいほど嫌な悪いやつというわけでなく、普通の人だ。しいていえば、ちょっと個性的でネガティブ思考かなぁ、ぐらい。

へぇ……そうですか。私は、私が大好きで、私の優秀な遺伝子をぜひ残したいと思うんですがねぇ。

などとは、いくら私でも言えない。

 

しかし遺伝子ってそういうもんでないだろうと思う。

自分の息子を見ていると、私とぜんっぜん性格も行動も違う。せいぜい、手足が長いとか体の厚みが薄いとか目が一重とか爪がそっくりとか、そういう形質的な部分で「親子だなぁ」と思うくらいだ。

好きな食べ物も違うし。

好きなアニメとか音楽とか共通部分もあるけど、それは遺伝じゃなく環境要因だろう。物心つかない頃から見せ聞かせ……なんか洗脳ちっくだな。

その、自分が嫌いで残したくないっていう方々の言う「性格」とか「人間性」だって遺伝じゃなくて、環境要因じゃないのか。

たとえば、いくら頭いい遺伝子を受け継いだって、それを活かせる環境じゃないと発現しないだろうし。

 

先日、実家に帰省して、弟と数日暮らして思ったのだが。

子供の頃は「ふたご?」と言われるくらい似ていて、常にくっついて遊んでいた、一つ下の弟。

いまやもう、性格も行動も全然違う。

弟は超インドア派だ。こたつに入りっぱなしで動かない。

一方の私は、超アウトドア派。動かないと気がすまない。帰省中も、朝はコンビニ行く名目で散歩するし、買い物は1日何度でも出かけて行くし、雪が降ったら真っ先に雪かきをする。時間があまり、体が鈍るので散歩に出かけたら、道に迷い9キロも歩いてしまった。

遺伝子は共通の部分が多いはずなのに。家族で喋る時も立ってる私、こたつに巨体の半分をつっこんで横になっている弟。これに「あと5キロ太りたい」が口癖の母も加わると、本当にバラバラな人間の集まりで、遺伝子は何をしているのかと言いたくなる。

 

高校を卒業して家を出るまではここまで差がなかったように思う。二人ともこたつに入って本を読んだり漫画を読んだり、つまり机にひたすら向かうのが好きな人間だった。(でも昔から雪かきは私ばかりしていたような……)

私がアウトドアに目覚めたのは、大学に入ってバイクに乗り始めたからだし。

本が好きな弟はそのまま本の虫のまま出版業界に進んだ。 

 

うちの息子も、そろそろ家を出る時期に来ている。自分の遺伝子を残したというより、まったく違う生物が爆誕したように思える。あとは私がアウトドアに目覚めたように、どこぞに行った先で、性格ががらりと変わるようなものに出会って、私をびっくりさせて欲しい。

 

そういえば私と弟は、スポーツ万能の父を持ったのに高校生までは運動がまったく苦手だった。体育の成績だけ悪い通知表を見ては、遺伝しなかった不思議を呪ったものだった。ところが今、共通の「マラソン」という趣味がある。はじめたのは私の方がかなり後なのだけど。もしかしたら、スポーツは「苦手」でも「好き」の遺伝子は二人とも受け継いでいたのかもしれない。35すぎるまで、わからなかった遺伝。

 

だから、遺伝ってそんな単純明快なもんじゃない。

自分がいやなやつだからって、子供が嫌なやつとは限らないよ。

そう思うのだけど、やっぱりそんなことは言えない。