2019年GW遠野一泊旅行 〜墓参りと遠野醸造とレンタサイクル観光〜
突然遠野に行くことになった。
今年のGWは10連休、でも息子の部活や私のバイトでそんなに長くはなかった。秋田への帰省もせいぜい一泊しかできないようだ。ならば連休にわざわざ行かなくても。ふと「遠野へ祖母の墓参りに母の代理で行く」のを思い付いた。母に提案したところ大変喜ばれたので、行ってきた。
まあ、本音は「遠野醸造に行く口実がほしい」だったのですがね。
晴れたらバイクのつもりだった。残念なことに雨だったので、JR+高速バスを利用した。
この趣のある遠野駅の駅舎、残念ながら建て替えが決定している。
老舗喫茶店の「たいげつ」でラーメンをいただいたあと、コインロッカーに重い荷物を預けてお墓参りに向かった。
なお、駅のトイレ前のコインロッカーは400円だけど、観光案内所「旅の蔵遠野」に設置されているほうは300円。
お花とお線香と買って、まずは無事祖母と母方の親戚のお墓参りを済ませた。遠野に墓参りに来るときはいつも雨のような気がする。
さて、宿のチェックインまで懐かしい遠野の町を歩き回ろう。
祖母のアパートがあった来内川(猿ケ石川の支流)沿いは遊歩道が整備されている。つがいのカモがいて、嬉しくなった。小さい頃、アパートの窓から仏壇にお供えのおさがりのお菓子をちぎって投げて、カモに食べさせるのが楽しかったんだ。あのころはもっとたくさん、カモもアヒルもいた。
市民センターに入ってみると、甲冑や籠、槍や刀が並べてある。あとで知ったがちょうどお祭りの時期で、明日は武者行列があるらしい。その準備だった。
吹き抜けのホールを見上げると、子供の頃怖かった絵がそのままにある。
もう一枚怖い絵があるんだけどそっちはどうなったかな。昔は食堂に飾ってた。今は食堂はない。カレーライスとソフトクリームがおいしかった。
市民センターのいろいろな光景は鮮明に覚えている。ホールの外の地面にかたつむりのように螺旋状にレンガが敷き詰めてあったのとか、鉄で作った人体標本みたいで怖い彫刻がたくさんあったのとか。もう、なかった。
市民センターからつづく小山は鍋倉城趾。登っていくとジャングルジムやブランコ、球状のぐるぐるまわる遊具、すべり台があった。数え切れないほどここには遊びに行った。今はない。
道端の看板を見ると、意外と五百羅漢が近いことがわかった。明日行こう。
登り切ると、七部咲き〜満開の桜がいっぱい。雨なので誰もいない。桜の公園をひとりじめだ。仙台ではとっくに桜は終わったのに、もう一度楽しめて、嬉しい。
展望台から遠野のまちを眺める。
近くになんかの視察らしいスーツの一団が。休日なのにご苦労様だ。
おばあちゃんとおばさんの二人連れが、桜をバックに写真を取ろうと携帯を手に腕を伸ばしていたので、「撮りましょうか」と声をかけた。
遠野にいると人に優しくしたくなる。
歩き回っていたらあっというまに時間がすぎたので慌てて降りて、「福山荘」にチェックインした。母によればここは憧れの老舗旅館だそうだ。
フロントで「明日の武者行列に参加されるんですか?」って言われて驚いた。ということは、旅行者も参加できるのか…
宿は木造の昔ながらの旅館だ。トイレも洗面所も共同。
こちらが洗面所で、タイルの配色がキュートだ。宿泊客のなのか宿の人のなのか、洗面道具がごちゃっとあるのも趣がある。好きだなぁ、こういうの。
この電気スタンド、懐かしい!
ありがたいことに宿で早めにお風呂をたててくれていた。雨の中歩き回って冷えた体をあたためることができた。
準備が整ったところで、ビールを飲みにでかけた。
2回目の訪問になる、遠野醸造さん。一応予約を入れておいた。
前回の訪問記はこちら。
いつもtwitterやFacebookで拝見しているスタッフの方々がそこにいた。
とりあえず繋がっている遠野醸造のタップは全部網羅したい。
いただきます。
はーーーーーーー、うまい。
飲みたい飲みたいとさんざん言っていたビールをまた飲めて嬉しい。
フードはカレーとサラダとパドロンをいただいた。
カレーは田村さんの作るタムカレーがおいしいと噂を聞いていた。(写真撮る前に食べちゃいました)チキンでスパイシーなビールのつまみ系カレー。
こちらのサラダのドレッシングにはパドロンを使ってるそう。
パドロンは、そろそろ在庫終わりだとか。そういえば収穫祭は8月だった。
「食べられてラッキー!」と言うと、
「ハウス栽培のプロジェクトも進められているんですよ」とのこと。
年中、パドロンが食べられたら嬉しいですねぇ。
フルーツ系はほとんど飲まないのだけど、想像していた果汁っぽさを良い意味で裏切ってくれた。爽やかなビールの味の中にほのかな香り。
北海道のイメージがあるハスカップ、遠野でも作ってるそうだ。知らなかった……
香りの立つまあるいグラスで、ESB。甘みと苦味のバランスがいい。こういうちびちび飲みたいビールもおいしいですねぇ。
飲みながらもスタッフの方々といろんな話をして、私のルーツが遠野にある話とか、仙台のクラフトビールの話とか、昨年のツアーに参加した話とか、楽しかった。
しおツェン。しおりさんが作ったヴァイツェン。
もうちょっとなにか頼もうかなーと思ってメニューをみると、燻製ナッツが。しかもガーリックオイルをまぶしているという!これ絶対おいしいやつ!そして本当にすごくすごくおいしかった。(おいしかったのでお土産用にも買った)
袴田さんの名前をとって「ハカダミアンナッツ」って呼んでるみたい。
だんだん酔っ払ってきて写真がおかしい。
遠野醸造のタップを全制覇したところで、団体でいらっしゃった方(さきほど鍋倉城にいた地域おこしの視察の方々だそうで)と、ついカウンターで話し込んでしまい、さらにビールごちそうになってしまった。
飲みすぎないようスマホにアラーム仕込んでおいたんですけど、まぁごちそうしますって言われたら、いただきますよね。
袴田さんが「今からスモークナッツを仕込みますよ!」というので、じっくり見させてもらった。解説つきで人気商品の作り方を惜しげなく見せてくれるなんて、めっちゃオープンソースや!(謎)実際酔っ払って「オープンソースの精神ですね!」とか言ってた気がする(恥)。
帰ったら絶対真似して作ろうと思った。
やわらぎ水もたくさん飲んでたんだけど、グラスが空になるとスタッフの方がすぐ注いてくれて、すごくありがたかった。ビールもおいしい上にホスピタリティも素晴らしいなんて……
大変いい気分で宿に戻り、バタッと寝ました。
幸せ過ぎる。
いいなぁ、こういうお店仙台にもないよ……
翌日は飲みすぎてちょっと辛い朝を迎えた。というか、古い旅館なので足跡が響いて早くに目覚めた。廊下にはもふもふの猫ちゃんが一匹歩いていて、こちらを見上げて「みゃーん」と鳴いて立ち去った。
朝風呂で体と頭を起こし、買っておいた朝食を食べて、今日は遠野観光。
前日までの雨は上がり、キラリと晴れて気持ちがいい。
遠野の観光地は実はほとんど行ったことがなかった。駅前で自転車を借り、近そうな五百羅漢を目指した。
この赤い布がたくさんぶら下がっているのは「卯子酉様(うねどりさま)」。恋愛成就の願掛けをする場所として有名らしい。風に煽られはためく赤い布には一つ一つ思いが込められている。カップルで来た人もいるだろう。1人で来る人もいるだろう。私も書きましたよ。
この卯子酉様前の駐車スペースに自転車を置いて細い道を上っていく。熊出没注意の看板がある。しんと静まっていて誰にも合わない。正直ちょっと怖かったのでスマホから音楽を流しながら進んだ。ボカロ曲のEDMという、まるきりのどかな光景に合わないんだけど……
……ええ?高速道路!?
いきなり新しい道路に出て、驚いた。マップを確認する。いつのまにこんな道路が。高速の上の歩道橋を渡り少し歩いたところに、五百羅漢はあった。
誰にも会わなかった。五百羅漢まで来ても誰もいない。
さらに熊に会いそうな奥へ進む。怖いけど、細い山道についつい入り込んでしまうのは私の習性である。
せせらぎの音と、鳥の声が響く。うわあ、こういうの私の大好きな空間だ。
しんとした澄んだ空気に満ちていた。木々の間から漏れる光が苔むした岩を照らし、神々しい。
せせらぎは岩の間から流れでてくるのだけど、一部は完全に地面に隠れていて、伏流水となっていてその音が足元から聞こえてくるのだ。
森はしっとりと濡れて、滑りやすい落ち葉をかぶった岩の間を慎重に歩く。道がどこなんだかわかんない。わかんないけどとにかく進みたかった。
きらきらした光景は、もしかして雨上がりの特権だろうか。
苔むした羅漢様をたくさん見つけた。普通の岩なのか羅漢様なのか。線で掘っているから見分けがつかない、なんだかわからない。知らずに踏んでいるかもしれない。
いつまでもここにいたかったし、誰も来ないでほしいと思った。
これ、チャワンタケ?
近くにコンセサマがあるようなのでそちらにも行ってみたが、地図に騙された、いや見間違えた。かなりの山道をひたすら登る羽目になったから。
よくこんなところにお社を作ったなあ。
一台のシニアカーに会った以外は誰もいなかった。
さて引き返し、次は反対側へ。とりあえずカッパ淵を目指した。
川沿いにサイクリングロードが整備されていたので、そこを通った。
カッパ淵は伝承園のそばにある。
伝承園に自転車を停めた。こちらには観光客がいっぱい。駐車場もほぼ満杯。誰もいなかった五百羅漢と対象的だ。
カッパ淵に向かう途中にホップ畑が!!
これから育つんだね。おおきくなーれ。
というわけで、カッパ淵に来た。
………www
まぁ、予想通り。
伝承園に行く。
写真はないが、佐々木喜善の展示があった。
赤坂憲雄先生の授業で聞いたことを30年ぶりぐらいに思い出した。
伝承園はむかしの暮らしを伝える展示でいっぱいだった。オシラ堂がすごかった。壁全面にびっしり、オシラ様。
食堂でお昼を食べ、余裕を持って駅に戻ろうとしたが、てきとうに自転車を漕いでいたのでずいぶん遠回りしてしまった。おかげで遠野の光景を堪能できた。
ほんとうは水光園でお風呂に入ろうと思って用意していたんだけど、微妙に間に合わないようだったので、断念。
自転車を返して、観光案内所「旅の蔵遠野」の中のカフェでコーヒーとケーキをいただく。残っている二日酔いとサイクリング疲れで、ぼんやりした体にコーヒーの香りと苦味がしみていった。
アメリカから移住したMichaelさんご夫妻がやっている、本場シアトルのコーヒーのお店なんだそうだ。素敵だー!
そういうわけで遠野の旅は終わった。
帰宅してから母に電話で報告した。
「はー、遠野はいいなぁ。私も住みたいなぁ。」
などと言うと母は
「寒いよ!車がないと生きていけないよ!」と脅すのだけど。
駅の裏手の国道沿いはよく知った店がたくさん連なり、賑わっていた。自転車で走り回ってまったく困らなかったので、だいぶ暮らしやすくなったんじゃないかと思う。
駅の表側のほうは、相変わらず寂しかったけど。
やっぱり母は遠野が恋しいようだ。いつかまた連れて来よう。私が車を運転すればどこでも行けるし。
今回のまとめ。
- 五百羅漢が素晴らしい上に全然人がいなくて最高
- 高速道路ができて遠野へのアクセスはしやすくなったらしい
- 遠野醸造は素晴らしい
- 遠野それなりに店もあってそんなに不便じゃなさそう
- 住みたい
それと仙台・遠野の高速バスも1日一本だけ出てるらしい。多分それがいちばん安い。
最後の結論は、前のブログと同じだけど、次は遠野じんぎすかんマラソンに来ます。ということで。