仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

「沼地のある森を抜けて」梨木香歩

ねっとりとしてぬるぬるっとしていてべたっとしている話。生命が誕生する事柄はねっとりしてぬるぬるしているもんなのだ、その聖性に対する敬意の裏返しとしての「物忌み」が「不快」としてふいと浮いてくるのか。ぬるぬる感は読後もなかなか消えない。暑い時に読むには適さないかも。

だからその、不快と言い切ってはいけないけど、うわーという感じ。生命、最初の一個に対する果てしなき敬意、いや敬慕、か。そしてそれは太古の話ではなく我々の体の中で今も繰りかえされている。生まれる、自分自身という生命に対する敬慕。
「りかさん」「からくりからくさ」「西の魔女が死んだ」「家守綺譚」など読んで来たけど、梨木香歩の小説は、血縁を軸に話が展開したり、亡くなった人の思いやら意志やら、なにかがずっと続いているというような話が多くて、そのベースはこういうことだったのかな、と…。

うまく説明できないが、不思議な話だ。