安定の川上弘美の不安定さ
西加奈子の本を読んで辛くなったので、川上弘美の本を借りて読んだ。
[asin:4093863040:detail]「なめらかで……」は、ちょっと長めの話がいくつか。「天頂より…」は、もっと短い短篇集。
ああ、ほっとする。
ものごとに結論がつかなくて、恋にも正解がなくて、ひとは収まるところに収まりもしないまま、そとづらは多分何の問題もなさそうに生きている。
こういうのが現実だ。
あの世で天国か地獄か選り分けられるとき、胸を張って天国と100%自信を持てるくらい、正しく生きていることがそんなに偉いだろうか。
人を痛めつけて。
苦しめて。
恋に身を任せて。
貧しくて。
寂しくて。
いやらしくて。
報われなくて。
正しく生きている人達がまぶしくなったり、幸せな人がねたましくなったら、川上弘美を読んで、自分を肯定してもらうのです。