日本ビール検定、通称びあけんの2級・3級を受験してきた
はるばる仙台から東京に行ってびあけんを受験してきた。自己採点で合格点に達していたので、自分なりの試験対策と反省を体験記として書いときます。
はじめに
「ビールを美味しいと思って飲んだことがない」と、最近、知人が言った。
何度も飲み会で一緒にもなったし、その人もビール飲んでたと思う。
飲み会や飲み屋などで普通にビールやお酒を飲んでいる大人で、実はそういう人けっこういるのかもしれない。単に料理や会話とともに流し込み喉を潤す、アルコールが含まれている液体というだけで飲んでいる……その可能性に気づきちょっとショックを受けた。
とはいえ、私はそういう人に
「そんな!ビールはこんなにいろんな種類があって味も違って、おいしいんですよ!!」
と、勢い込んで否定しビールの世界を布教しようとはしない。酒なんて飲まずに済めばそのほうが体にもいいし。*1
私自身はもちろん、ビールが大好きで美味しいと思って飲んでいる。だからいろんな味のビールを試したいし、美味しいビールを求めて出かけていきたい。
しかし、「酒には真摯に向き合いたい」などと言っておきながら、ビールについて実はまったく詳しくなかった。ただそこにあるものをありがたく味わうのもいいが、もっと詳しくなりたいと思った。
そこで、ビール検定である。
ビール検定とは
まぁ、そんなもんの存在を、ビール好きであってもふつうみんな知らないわな。
ビール検定(通称びあけん)とは、ビールについて種類はもちろん、原料の違い、製造方法、歴史、社会情勢、文化時事問題に至るまで幅広い知識を問われるものである。
3級、2級、1級とあって3級2級は手が届くけど1級は毎年合格率が1桁というものすごい難関なのだ。ブルワリーやビアパブのスタッフがチャレンジすることもあるとか。
くわしくはこちらを。
びあけんの存在は、twitterで知り合ったビール好きの方々が話題にしていたので知った。
なにか目標を決めて勉強するのは楽しいし、得意でもある。去年は国家資格の登録販売者を受験して合格したので、またなにか勉強したいなと思っていた。話題にしている人たちの様子を見るに、どうやら適当な検定ビジネスではなくちゃんとした試験らしいから、勉強して損はない。ビール好きを自称するならビールに詳しくなりたい。
ところが、悲しいことにこの試験は仙台でやらないんですよ!!!
東京か札幌に行くしかない。実はこのことを知ったのは去年「受験したい」とテキスト(後述)を買った後。当然仙台でも受験できると思いこんでいた…東北の存在感はかくも低い…
去年はそういうわけで受験は見送り。今年は東京に行って受験することにした。試験日は私の誕生日だから旅行気分も楽しんじゃえってことで。
勉強方法
では以下、どのように勉強したかをご紹介。
テキスト
これが出題の元となるので買わなきゃだめ。また法律など改正されたものが反映されている最新版を入手しよう。
当然、ただ読んだだけで覚えられるはずがない。巻末に模擬問題はあるけど、「こんなかんじですよ」とさらりと紹介するだけでとても試験対策になる量ではない。
まとめノートを作った
テキストを見ながら、カラーペンや色・強調など駆使して絵や語呂合わせも書いてまとめノートを作った。残念ながら最後のあたりは時間がなく面倒になって作ってない…
このまとめノートは一問一答集も兼ねていた。自前で問題を作り、繰り返し眺めて解いた。
ちなみに登録販売者の時もこうして勉強した。
公式過去問集(買ってない)
実は公式過去問集というものがある。なんとなく買わなかった。でも、買ったほうがいいです!
本格的な試験対策は問題集を解いていって頭に叩き込むのがいちばんです。
びあぱれっとの過去問・予想問題
過去問を買わなかった私は、「びあぱれっと」というビール情報サイトの過去問・予想問題コーナーに大変お世話になった。実際ここからたくさん出たし。
自分が解けなかった問題を繰り返し解いた。結局、これが一番効果的だったと思う。
マップ、年表を作った
ヨーロッパの国の位置なんてぜんっぜんわからん。世界史も「ゲルマン人の大移動ってなんだっけ」というレベル。こういう「地理」「世界史」が苦手だった人間は少し不利。そして私は年号を覚えるのが苦手。そこで、文字情報でなく絵や表で覚えることにした。
まずはヨーロッパのマップを印刷して、ビールの出来事、ビアスタイル発祥の地、ビール会社の場所、などなど書き込んだ。
歴史については、ビールが生まれたときから最近まで、世界史の部分を年表にした。詳しい年号を覚えられなくても、表のこのあたりに書いてた…ということがわかれば出来事の順番くらいは判断できる。日本史の年表はテキストにあるし作らなくても大丈夫だろうと思っていたが、作ればよかった。(けっこう落とした)
語呂合わせや絵も併記。
もやしもん
「もやしもん」の8巻を借りてきて読みなおした(昔読んだことはある)。読みましょうこれは。いろいろ考えさせられる内容だし。ピルスナーの成り立ちは完璧に覚えられる。酵母の容姿もばっちり覚えられる。
ビール工場見学(行きませんでした)
キリンの仙台工場は2名以上じゃないと見学ツアーできないんすよ…だから行けませんでした…絶対行った方がいいです……行っておけばあの問題も……
ふだんの生活
当たり前だけど、ビールの情報に興味を持って普段からアンテナ張ってるほうがいい。これは試験対策というよりビール好きならそうなってしまうけど。
ビール女子は良いです。新発売のビール情報や、新しくできたスポット、ビール祭りの情報などが得られる。
たくさんの種類が飲めるビアバーでいろんなビアスタイルのビールを飲んでみるのも、もちろん勉強になる。お金と時間と健康の限界はあるけど。
また、そういうお店にはフリーペーパーのJapan Beer TimesとTransporter(いずれも季刊)があるので、これも新しいのが発行されたらもらって、隅から隅まで読む。試験対策というより情報誌としてとても楽しく読める。
また、ブルワリーやビールに詳しそうな人をSNSでフォローする。そうするといろんな情報が入ってくる。特にブルワリーでは新作ビールの紹介のときビアスタイルや使ってるホップなど話題にする。そういうの見るとなんとなく覚える。
テキストなどで出て来たトピックをさらにWebで検索すると理解が深まる。
ちなみに大学でドイツ語を取ってるとビールの名前のドイツ語読みがすんなり入ってきて楽です。
直前対策講座
ありがたいことに、前日、三鷹のブルーパブ「Cafe HOOOOP」にて試験対策講座があり、参加した。ビールを飲みながらの勉強会だ。講師の長谷川小次郎さんはこのような著書もある。読んでおくとさらに理解が深まる。
クラフトビール フォア ザ ピープル ブリュードッグ流 あたらしいビールの教科書
- 作者: リチャード・テイラー,ジェームズ・ワット,マーティン・ディッキー,長谷川小二郎(監修・翻訳)
- 出版社/メーカー: ガイアブックス
- 発売日: 2019/01/25
- メディア: 単行本
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テキスト以外から出題される、時事問題、芸術・文化問題をとりあげていただいた。最新のビール関係のニュース、話題、テレビ、映画に出てくるビールなど、テレビをほとんど見ない私には本当に助かる内容だった。「けもなれ」は見ていたけどTVerだったし。
「こういうのが出ますよ」「こういう情報をサイトで確認しておいたほうがいいですよ」など、直前に聞けたのはとても良かった。
実際に試験を受けてみて
まず試験会場では、人の多さに驚いた。真剣な面持ちでテキストを読み込んでいる。こんなにビール好きでビールに詳しくなりたい人がたくさんいるんだ、と思うと嬉しくなった。幅広い年齢の人が来ていて、男女比は男性のほうが圧倒的に多い。女性は若い人が多かった。
最初に3級、そのあと休憩が入り、2級を受けた。4択のマークシートで100問を1時間で解く。早く解き終わっても途中退出ができない。見直しも含めると2級も3級もぎりぎりまでかかった。
あくまで自分の印象だが、3級の方がテキストからの出題が多いせいか、難しく感じた。3級が終わった後は「まじかこれ落ちたかも…」という暗澹とした気持ちになって、なかなか次の2級に気持ちを切り替えられなかった。実際は3級の方が点とれてたのだけど。
情けないことに、基本的すぎて確認を徹底していない部分で間違えたところもあった。こういうのめちゃくちゃ悔しい。でも多分一生忘れない。
2級の方が「そんなのしらん!」と言いたくなるような問題がいっぱいあったように思う。でも勘でけっこう当たった。マークさえすれば確率25%だから。
おわりに
そういうわけで、多分無事合格した。勉強にまじめに取り組む時間をあまりとらなくて、さぼりまくったのは反省してます。11月には結果が郵送されてくる。順位も出るのだそうだ。何位かなぁ?ちょっと怖いけど楽しみ。
来年は仙台でも受験できるようになってほしい!
そして試験は終わったけど、どっかでビール作るの見学したい。
追記:無事合格しました!!
*1:余談であるがJカーブは最近は否定されている。そりゃそうだろうと思う。試験対策は別