仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

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「遺体と火葬のほんとうの話」佐藤信顕

 

遺体と火葬のほんとうの話

遺体と火葬のほんとうの話

 

著者の佐藤さんを、twitterで知った。(@satonobuaki)

コロナで本当はもっとたくさん人が死んでいるが、隠されているんだ、火葬場が大変なことになっているらしいよ、というデマを現場からビシッと否定されていた。tweetを眺めて、この方の情報発信の姿勢がすごくカッコ良かったし、ちょうど自分自身葬祭業界が気になっていたのもあって、この本を図書館で借りてみた。

 

いやー、めちゃくちゃ面白い!

人の死にまつわることはおおっぴらに語ることはタブーとされているし、そう頻繁に人生で出会うものでもないし頻繁に出会いたくもないし。だからこそ遺体や火葬やお葬式に関連した話は、間違った情報が横行しているらしい。

たとえば最初に出てくる話題。「死体洗いのバイトって本当にあるの?」怪談レベルでしょ、と思ってたらこの話題、ちょっと驚きの結末だ。

人がなくなることについてこういうの聞いたことある、本当なのかな?という、風習レベルのものから生々しい遺体の状況についてまで、いろいろな謎について、解説してくれている。

人の死は美化したり感動を無理に作ったりするかと思えば、逆に怖がられ変な話にされたり酷い誤解が生まれたりする。

現場で実際にご遺体に向き合って葬儀をとり行ってきた方の話は本当に説得力がある。

自殺の話もある。自殺したらどうなるか、なにが起こるか、そして葬儀屋さんはなにをしなければならないか。死にたいと行方不明になって、心配して探した人たちをバカ呼ばわりして、結局今でも何してるんだかわからないが生きてる知人がいるが、彼に読ませたいと思った。誰にも迷惑かけない死なんてない。

元火葬場で働いていた方との対談がリアルで面白い。「赤ちゃんの骨を残すのが難しい」とか、思い至りもしなかった。ちょうどよくお骨を残すための加減も火葬場でやっているんだそうだ。これはみんなに知ってもらいたいと思ったのは、ペースメーカーとガラス。ペースメーカーは破裂して火葬場の人が怪我をするし、ガラス(服のビーズも!)は溶けてお骨にくっつくだけでなく、最悪火葬場の装置までダメにしてしまうとか!気を付けないと。あと骨付きの食べ物はいくら故人が好きでもお棺に入れちゃダメ。

 

このような葬儀のお仕事って本当に尊いんだなぁ、そして難しいんだなぁと思わずにはいられない。

葬儀屋さんに会ったことはあるが、表に出ている部分しか知らなかった。その裏にはものすごくたくさんの仕事があった。

科学的見地、死に相対する人々の心、社会・地域の風習、それぞれと折り合いをつけて最善の方法を探っていかなければいけない。「手順と段取り」と佐藤さんは表現する。長い時間準備にかけられるわけでもないし、一律の対応が可能なわけでもない。

ただただ、「すごいなぁ」と葬儀屋さんに尊敬の念を抱く本であった。

本の内容は、佐藤さんのYoutubeチャンネルの発信が元になっているそうなので、そちらもぜひ。本で読んでも、佐藤さんの言葉で語られるといっそう納得します。(とっても明るく元気な語り口なので、聞いてると気分が良くなります。オススメ)

www.youtube.com