仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

古市憲寿さんの本を読んでみた

以前、「希望難民ご一行」を読んだのだけど、なにかと古市憲寿さんの名前を聞くのと、文体が気に入ったので、どさっとまとめて借りて読むことにした。

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古市さんは社会学者だと思ったら、実は会社もやっているらしい。
これを読んで実感したのは、やはりもう小学校卒業あたりから開成だの違う世界に行くともう、進む道は違うのだなぁということ。格差だ。息子を育てているとひしひしと感じるけど、環境ってやはり大きい。
古市さんの同僚たち、仲間たち、出て来る実業家たちが、ぜんぜんがつがつしてない。会社を大きくしたいとか、社会のためにどうこうとか、でかいことを言わない。自分たちだけ食えれば、そして遊びたい時遊ぶことができれば、という。そういった身の丈の働き方というのは私も同意するのだけど、私の場合「それぐらいすら稼げていないので、せめてそれぐらいを目指したい」という非常に消極的な理由であるからして、情けない。
エリート人脈、プラス、フットワークの軽さ、これがそろうと、軽やかに生きられるんだなぁと思う。正直羨ましい。ありがたいことに私も東北大学というエリート人脈があるお陰で、いろいろな人に繋がっていろんなことができる。そのアドバンテージは自覚して感謝せんといかんね。しかし、いかんせん家庭を持ってしまったのでフットワークが軽くないのが辛い。
そういうわけである意味、自分と比較して羨ましくてむかついてくる部分もなきにしもあらずなんだけど、古市さんの文体のゆるふわした口調が憎めなくて、そんなに腹が立たずに読める本。

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おすすめ。介護の本かと思ったら、それに留まらず世代論に発展し、読みながら脳内にたくさん火花が飛んで(ありふれた表現だと「気付きがある」ということなのだろう)楽しい。おっかなそうな上野千鶴子先生とゆるふわな古市憲寿さんが、お互い臆することなくバンバン語り合ってて、すごく面白かった。この本は、phaさんの「持たない生き方」にも何ヶ所か引用されている。偶然にもphaさんの本と並行して読んでいたので、このタイミングで読むべき本だったのだなと思う。
すごく納得したのは、古市さんが代表して語る若者(よりちょっと上)世代が、いつまでも子どもでありたがる、そして親も子どもがいつまでも子どもであるように育てた、ということ。自分は父が早く亡くなったのではやくオトナにならねばと育ってきたつもりなので、自分の夫など周囲を見て違和感を感じていた。その正体は、これだったのか、とおもった。
上野先生が、繰り返し、若い世代が声を上げていかないと、と伝えて、古市さんが「面倒」と答えていて、でも最後に折れて(?)いたのが面白かった。

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これも面白かった。
若者はかわいそうなのか?実は全然当事者達は不幸じゃないよ、という本。バブルや、三丁目の夕日的な世界と比べて悲惨だ大変だと言われる若者だけど、当の若者たちにしてみれば、その頃の方が不幸じゃないの、と。
結婚して子どもが二人いて持ち家を目指すべき、という価値観は、今の30代後半が最後なのかなぁ。ゆるふわな語り口で古市さんが書くと、ようやく若者たちが凝り固まった古臭い価値観をぶっこわしてくれそうで、期待しちゃう。