仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

「その島のひとたちは、ひとの話をきかない」

読売新聞で斉藤環先生がおすすめしていた本だったと思う。
以前レビューした、生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)があるとも関連が深いということで興味を持って読んだ。


「生き心地の良い町」は、岡さんがデータから導き出し現地調査した結果をもとに書いている。そして「その島のひとたちは」の著者、森川すいめい先生は精神科医で、希死念慮を持つ患者さんにも多く接した経験を持つ。
「生き心地」で取り上げられた旧海部町の他の、上位(といっていいのだろうか)自殺希少地域に、著者は訪問して滞在する。旧海部町以外のケースも知ることができるわけだ。著者が滞在中に体験したいろんなエピソードが、日記のように綴られる。
読み終わって思うのは、自殺希少地域はこうである、旧海部町みたいである、そんな正解はなくて、いろんなケースがあるんだなぁということ。
たとえば赤い羽根の募金が集まらないという旧海部町のエピソードがあったけど、別の自殺希少地域では逆に集まりが良い。そこに住んでいて嫌だと思う若者もいる。田舎の閉塞感を感じる人もいる。でも、閉塞感を感じつつ住んでいる人も、自殺しにくい場所なのだ。
人が死ににくい要素というのは、いろいろある。住む人の気質も地域によってさまざまだ。ひとつひとつの事例にとらわれず、いろんな事例から学ぶことが大事なのだなぁと思った。
「生き心地」でびっくりして新鮮に思った人は、この本も読んでみることをおすすめする。「生き心地」ほどではないけど、やっぱり新鮮な体験が詰まってる。


ところでこの本のタイトルと表紙、ちょっと損していると思った。
というのも、Facebookでこの本をシェアしたときすかさず「都会に比べ田舎はのどかで犯罪は少ないというのは幻想だ」とコメントされたので。ほっこりゆったり田舎素晴らしい、そんな本だと勘違いされるらしい。とんでもない誤解だ。

個人的には、森川先生の訪問地に東北が二箇所も入っているのが意外だった。自殺希少地域は南の方でないとありえないと思っていたので。
そして改めて、仙台は生き心地が悪いなぁと思った。出てくるエピソードがいちいち、仙台ではありえない。困っている人を手をつくして助けようとする人もいない。冒頭の賞味期限切れお菓子のエピソード、実家を思い出してクスッと笑えてしまった。実家(秋田)でも、そんなこと気にしない。でも仙台じゃー大変なことになる。
仙台は、便利で都会で自然が多いけど、私からすると、なんとなく人が冷たく感じて一生住む気しないのは、このへんが理由なのかなぁと思う。