仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな46歳、高校生男子の母。

うつ病サポート体感ゲーム研修「ウツ会議」を体験してきました

3/6(日)、東京の日本橋にあるコワーキングスペースClipニホンバシで開催された、「ウツ会議」研修を受けてきました。とても貴重な経験で、学びの多い時間でした。

 

  そもそも「ウツ会議」とはなにかというと。こちらが「ウツ会議」のサイトです。

www.mtg.blue

  こちらにも書いてあるとおり、

ウツ会議はうつ病を理解し周辺サポートするための研修用カードゲーム

なのです。

カードゲーム単体での一般販売ではなくトレーニングを受けた講師による研修がセットになっています。すでにNHKで紹介されたり、雑誌に掲載されたりして、見聞きした方もいらっしゃることでしょう。  

今回の研修の主催者であり、ウツ会議を開発されたのは、広瀬眞之介さん。4年ほど前、広瀬さんがコワーキングスペース「ネコワーキング」を運営していた時に、私が話を聞きに行ってからのご縁です。(当時のレポートはこちら

  広瀬さんはご自身が長年うつ病でした。その経験からうつ病の人をサポートする方法を周囲の人が楽しく学べる手段が必要だと考え、臨床心理士など複数の専門家とチームを組み「ウツ会議」を開発したのです。

広瀬さんはこの「ウツ会議」のバージョンアップ版の作成と、多くの人を対象にした研修の機会を設けるためにクラウドファンディングで支援を募り、見事達成されました。 私もささやかながら支援させていただきました。

readyfor.jp

  私自身も、母親をはじめ周囲の人がうつ病であったりうつ病経験者だったりと、うつ病は比較的身近な病気でありながら、どう対処したらいいのかよくわかっていません。当人を目の前にすると腫れ物に触れるように当たり障りのないことだけ言ってしまいます。 なので、誰でも気軽にゲーム形式でうつ病について学べるというのは、とても素晴らしいと思ったのです。心理学専攻出身なのでメンタルヘルス関係を学ぶ事にも興味ありましたし。

 

この日の研修には、私のようなクラウドファンディング支援者、なんらかの形でメンタルヘルスに興味がある人、Clipニホンバシに出入りしていて広瀬さんの取り組みを知っている人、などが集まりました。

研修では、まず広瀬さんからのお話しから始まります。うつ病について正しく理解しているか?対処方法を知っているか?の問いかけに、「はい」と答える人はゼロです。

うつ病の人がどういう症状になってどういう状態をたどるのか、広瀬さんの経験を語っていただきました。かなり壮絶です。 周囲にサポートできる人が増えれば、より多くのうつ病の人が助かる。その重要さを認識したところで、まずは一回目のプレイです。  

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実はこの日はじめてニューバージョンの「ウツ会議」が、お披露目されました。

前のバージョンを私は詳細に見た事はないのですが、ウェブに掲載されている写真と比べると統一感のあるイラストになりましたね。  

ぱっと見……いくつか種類がありますが、なかなかきつい言葉が並んでいるカードもありますね。これをどうやって使うのでしょう。

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ではプレイ開始。4人1グループとなり、最初に役割カードを引いて、対象者(うつ病当人)、医者、上司、バーのマスターのいずれかになります。(5、6人の場合は、これにカウンセラー、人事が加わります)

 

これから「症状カード」を引いていって、所定の方法で積み上げていきます。これを「ストレスタワー」と言います。次に山札にあるカードを一枚引きますがこのカードが対処に当たります。これを使って症状カードを取り除いていきます。タワーに積まれた症状カードを全部取り除くことができたら、寛解、ゲームは勝ち。途中でタワーが崩れてしまったり、山札を使い切ってしまったら負けです。(個人で勝ち負けがあるわけでなく、そのグループ全体で勝つか負けるか、です)

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ゲームのスタートは、当人が最初に症状カードを引き、その状況をあらわず言葉が書いてあるのでそれを3回読みます。「一方的な励ましがしんどい」などの言葉を3回読まれてそれを聞くと、グループ全員がけっこうどんよりとします。

次の人が症状カードを引き、3回読んで、積み上げます。カードが崩れると負けなので、積み上げる時も慎重になります。そのあと山札から一枚引きます。これを使って症状に対処するのですが……

まず、症状ごとに使えるカードが違います。例えば症状カードが「自責」なら「自信をつけさせる」「心理療法」のカードが効きますが、引いた対処のカードが「見守る」だったら使えません。使えないカードは手元に置いておきます。

さらに、役割ごとに可能な対処方法があるのです。たとえば「薬物療法」は医者でなければ処方できません。医者以外の人が「薬物療法」を引いたら、使わず手元に置いておくしかありません。

また別の例では、「自信をつけさせる」は上司、カウンセラー、バーのマスターができます。が、それも得意な人とそうでない人がいます。これを表すのが役割の横に書かれている数の値です。カードを使って取り除く症状カードを決めたら、サイコロを振ります。出た数が自分の役割のところにある値より大きければそのカードを使って症状カードを取り除けます。上司は「自信をつけさせる」のが得意。なので2以上の目がでたら使えます。しかしバーのマスターなら、4以上の目が出ないと使えない。残念ながらサイコロの目が自分の役割の値より低ければ、カードは捨てます。

そして次の人へ進みます。

 

では、自分の役割で使えないので手元に置いてあったカードはどうするの?

実は山札には万能なカードが紛れ込んでいます。それは「カンファランス」。このカードを使うと、お互いの手札を一枚だけ他のに渡すことができ、全員1回ずつカードを使う機会が与えられます。バーのマスターの手元にあった「薬物療法」を医者に渡して使ってもらうことができます。(あ、もちろんサイコロを振って使える値が出れば)このカンファランスカードも手元において、タイミングを見計らって使う事もできます。

カンファランスをうまく使うと、効率的に症状を取り除くことができます。メンバーで「この症状が上にあるから、こっち使おうか?」「数字が2だから私がやったほうがいいですね」などと話し合ってカードをやりとりします。

そうやってゲームを進行し、うまくいけばストレスタワーに積まれた症状が全部なくなります。一回目、私たちのグループは見事寛解まで持って行けました。ばんざい。

このゲームをしていると自然と会話が出てきます。症状カードの言葉は深刻だけど、うまくカードを取り除くとみんなで喜んで笑顔になるし、サイコロの数字が少なくて対処できないと「あーっ」とみんなで残念がる。役割カードに合わせてなりきって、演技が入ったりもしました。とっても楽しいし、盛り上がります。

 

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一回目のゲームのあと、振り返りがありました。  

このカード、どうしてこうなっているの?
どうしてこの役割の人がこの対処ができるの?
逆にどうしてこの役割の人はできないの?
どうしたら、効率的にストレスタワーを取り除くことができる?

などなど。広瀬さんが参加者に問いかけて、それに答えていくやりとりを繰り返ししながら、理解を深めていきました。なるほど!と思うことばかり。

もしゲームをしないで、単なる座学として「こういう症状のときはこういう人がこういう対処を」と聞いていたとしたら。ここまで興味を持って聞けないし、腑に落ちることもないでしょう。

なるほど、と思ったところで二回目のゲームをしました。 しかし残念ながら今回は、手札が尽きてしまって負けとなりました。  

ゲームと広瀬さんのお話を通して感じたのは、うつ病当人が一人でできることはとても少ないということ。周囲の人のサポートが大事なんだと感じました。そして、サポートする人がたった一人でも、やっぱりできることは限られている。自分の不得手なことはできない。お医者さんの役割をバーのマスターはできない。そして得意なこともいつもうまくいくわけじゃない。

だから、周囲にサポートする人が多ければ多いほど、対処できる可能性は広がる。

そしてゲームで最強だった「カンファランス」カードが象徴するように、周囲の人たちも情報をやりとりすることができれば一番いいですよね。

 

研修の最後にはタブーなしの元うつ病患者への質問コーナーもありました。 広瀬さんは「うつ病への対処は、自分ができないことは適切に対応できる人に頼むこと。これが大事なことです」と、研修を締めくくりました。

 

このゲーム研修は、メンタルヘルスに関わる企業向けということですが、個人向けにはClipニホンバシで体験会を行っています。Facebookで案内しています。 https://www.facebook.com/depression.mtg/    

 

この「ウツ会議」、これまでは企業の人事、薬剤師の団体、医学部の学生さんを対象に研修を行ったそうです。自分でなんとかするとか、個人でなんとかするためではなく、チームとなってうつ病の人をサポートする必要性を実感し考えるためにこのゲーム研修があります。

あらゆる組織、企業、団体でメンタルヘルスに関する知識は必要になってきているのではないでしょうか。そしてその重要性は今後ますます増していくと思います。重苦しくなりがちな内容を楽しく学んで納得できる「ウツ会議」、ぜひ多くの方々に知っていただき、導入していただきたいと改めて思いました。

支援してよかったです。