紙袋渇望
紙袋が、ない。
持ち手のついた、あの紙袋である。
必要なのだ。なぜかというと、雑紙をつっこんで資源回収の時に出すからである。私はこういうのはちゃんとリサイクルに出す常識人なのだ。
参考:
しかしですね。普通に日常生活送ってて「紙袋」って、身近にあります?
だってスーパーもコンビニも普通にレジ袋でしょ。まぁ私はほとんどもらわずマイバッグだけど。
紙袋って、三越で買い物したり、ちゃんとしたお菓子買ったり、おみやげもらったりするときに、入ってるものでしょ。
あと、ちょっとちゃんとした雑貨屋さんとか服屋さんとか化粧品屋さんとか。老舗のお店とか。
そういうところに縁がなければ、いっこうに「不要な紙袋」は手に入らないのだ。
これまでは、帰省するときに手土産を買うときついでに紙袋を多めにもらったり、または夫実家からもらったり、そしてごくたまに紙袋をくれるようなところで買い物をして正当に(?)入手したりしていたのだが。
このたび、本当に枯渇してしまった。
なくなって困ったときにちょうど貰う、をぎりぎり繰り返していたのに。
雑紙、紙袋ではなく大きい紙で包んで入れたらいいのだけど、こまごましたやつを放り込めるほうがいいんだよねぇ。
少し前、仙台メディアテークで、大量の紙袋をアートにしてぶら下げるイベントをやっていた。
高いところに一面に並べられ、大きなガラス沿いに仙台七夕飾りのように吊られた紙袋は、壮観だった。
スタバ、萩の月、玉澤、その他老舗のお菓子屋、ブランド服屋、三越、ヨドバシ、渇望している大量の紙袋がそこにあった。
ただのオブジェにするんだったら、くれよう!終わったあとでいいからさぁ。
と、叫びたくなった。
もう無いから、多分、リサイクルに出されたのであろう……
いや、知ってるよ。コンビニにも紙袋はある。お願いすればくれるはずだ。
でも、コーヒー2つとか、スイーツ2つとか、ちゃんと大義名分が欲しい……ああ、自分が店員の時はそんなに全然気にしないのに。
そんなバカなことを考えていて、ふと
「紙袋、新聞紙で作ればいいじゃん」
と思いついた。
適当に作れば袋になるかと思ったが、こういう工作が久しぶりなので、勘を取り戻すまでに醜いやつを2つほど作ってしまった。
あ。なんか、これ、楽しい。
楽しくなって5つほど一気に作った。
新聞紙でなくフリーペーパーで作ったがちょっと強度がこころもとない。県民共済のチラシが丈夫で良かった。
目分量でぴしっと折って、のりしろもうまく作れて、マチもきちんと角を出せる。
小さな成功体験を積み重ねていくような気持ちが嬉しかった。
ただの紙袋を自分で作るだけなのに。
ふははは!!
今後はどんなに大量にメディアテークに紙袋が吊られようとも羨ましくないぞ!
三越で買い物する機会がなくても。箱に入ったお菓子を買う機会がなくても。ヨドバシででかい家電を買わなくても!
私は自前で紙袋が作れるのだ!素晴らしいことに気づいた!
……とはいえ、もし、ご家庭で捨てるだけになってる紙袋があったら、ください。A4は入るサイズでよろしくお願いします。
トイレ水道が凍結した後手洗いから水が出なくなった話
そういえばこの冬には貴重な体験したので来年のためにも書いておく。今年の冬は特別寒かったので仙台では多くのところで水道管の凍結トラブルが発生した。
我が家(築50年の借家)も例外ではなく、北側の壁の外に露出しているトイレの水道管が凍ってしまった。タンクに水が流れてこない。
凍結した日は対応できず、トイレは風呂から水を汲んできて流していた。北側で日も当たらない壁なので昼間になっても回復しない。
翌日、まずは自力で解決方法をさぐった。意外にも仙台市水道局のサイトが親切であった。
もしも凍結してしまったときは…
立ち上がり管の場合
防寒水栓柱(ビニール製)の外ぶたとその中の白い中ぶた(発泡スチロール製)をはずし、水道管に直接お湯※をかけてください。※注意:熱湯をかけると水道管や蛇口を破損する恐れがあります。
熱湯はだめ、当然だよね。
また、サイトは忘れたがタオル等を巻くと良いという情報もあった。そのほうが長時間お湯が留まるしね。
そこでやかんでお湯をわかし、防寒水栓柱のふたをはずし、さらに外側にタオルを巻き、中と外と両方、チョロチョロお湯をかけた。4回ほどやかんが空になった時、ようやく凍結から回復し、トイレの水が流れるようになった。
やった!心底ほっとした。
これで無事普通にトイレを使用できるようになった。と、思ったら、上の手洗い部分から水が出ない。
トイレのタンクに注ぐ水を上から出して、手洗い用の水にしている、そういうタイプのトイレなのだ。安アパートによくあるタイプ。
トイレを出て別なところで手を洗えばいいんだが、うちは洗面所がなく、風呂に洗面台があるので、風呂に行くしかない。面倒っちゃ面倒だ。
またもネットで情報を探してみる。フィルターを掃除すればいいらしいが……、タンクの蓋をあけてじっくり見ても、どうしても同じ構造の例が見つからない。型名で検索すると部品は出てくるが、いったいどこにフィルターがあるのか。そしてこれは直せるのか。
私も暇じゃないので、しろうとが無駄に時間をつぶすより、プロにお願いしようと思った。
借家なのでトラブルはまず大家さん。大家さんご夫婦は同じ敷地内に住んでいる。敷地内にいくつか借家を持っていて奥さんが管理していることになっていた。電話をかけた。
「トイレの手洗いの水が流れなくなったのですが」
「手洗い?」
「……先日、寒かった時に凍結しまして」
「あらーっ」
大家さんが派手に驚くので慌てて、
「でも、対処方法を調べて、外の立ち上がり部分が凍結していたらしいので、お湯をかけて」
「熱湯はだめよっ!!」
いきなり遮られた。
「いえ、熱湯がダメなのはわかってますので、それより低い温度で……」
水道局のホームページを見て、これこれこういう手順でやりまして、と説明。それでトイレ自体は復旧したが手洗いの水だけが出ないので、みていただけたら、とお願いした。
「あらー、そういうのは、私なんかよりも、おたくの旦那さんのほうがわかるんじゃないかしら」
えっ、いやその。なにかあったら、まず大家さんが確認して、その上で業者さんに依頼するもんだと思ったので連絡したんだけど。私はずっと賃貸に住んでいるがこんなことを言う大家さんははじめてだった。それに夫は別に水道業者じゃないし単身赴任中だよ。
「熱湯はねぇ、ダメなのよ」
「いえ、熱湯はかけていません。修理の業者さんにお願いしたいのですが」
なんども熱湯をかけたと繰りかえすのでなんども説明した。心配になってきた。しかし、どうやら業者さんを呼んでくれることになった。
私の不在時に大家さん立会いのもと業者さんに見てもらい、なおったということだった。しかしやっぱり手洗いの水が出ない。どうもうまく話が伝わっていないようだ。
「えっ直っていない?だって、修理したって聞いたわよ」
「ですから、手洗いの部分が……」
こりゃ私がいないとダメだ。
その時にまた大家さんが電話で
「あの、水道業者さんにね、無理にお湯をかけたと、だから部品が変形したんじゃないかって」
などと言うので「無理にお湯はかけていません!!」と、キレそうになった。なんなんだもう。
今度の修理は私も立ち会った。業者さんは交換部品を持って来てくれた。
話を聞くと、私が室内のトイレの部品に無理にお湯をかけたことになっていたらしい。
「中にはかけてないです!熱湯もかけてないです!外だけです。中にかけたら、室内びしょびしょになっちゃうじゃないですか」
と言うと「んだよねぇ」と業者さんも苦笑い。
大家さんも来て立会いながら、まず立ち上がり部分の水道管を分解しはじめた。
水道管を切ると、中に錆が詰まっていた。業者さんが細い棒をごしごしと通すと赤茶色い水がどばっと出た。
「これは(水道管が)古いんだ。今のはこんな錆はできないようになっているんだ」
中の錆を綺麗にすると、水の勢いが変わった。ここの勢いが弱いと手洗いまで水がこないそうだ。なるほど、錆で内部が狭くなっているから、余計凍りやすいわけだ。
しかしそれを新しい水道管にするというのは大掛かりな工事が必要で難しいのだろう。業者さんは元どおり水道管を組み直し、凍結防止ヒータをつけてくれた。
しかし、そのあとも手洗いから水が流れなかった。
そこでトイレの部品の方を新しいものと交換した。やっと流れるようになった。
「こっちも古くなっていた」と、業者さん。
「あらー、でもそんなに古くないはずよ」と、大家さん。
「いや、もっと経っているね。I社は種類が多くて、壊れてもその部分だけ修理もできない。だからまるごと交換するしかないんだ。T社はそんなことないんだけどね」
そうなのか。今後別の家に住むなら、T社を使っているかどうかチェックしてみようと思った。
さらにそのあと、ウォッシュレットも水がでないことが判明したのだが、これも詰まっていたとのことで、こちらはすぐ直してくれた。
結局、うちのような古い借家の宿命で、水道管に赤錆が生じていると凍結、その後の解凍をきっかけにそれが流れ出し、フィルターに詰まってしまうということだ。肺塞栓と同じだね。
無事普通に使えるようになったトイレ、改めて当たり前にトイレで手が洗える幸せを感じた。
赤錆はいやだが、仕方がない。まぁ借家であるおかげで、大家さんがこうして修理してくれるわけだし。
夕食時、私が経緯を説明すると、息子はうなずきながら、
「生活のインフラに、お金を惜しんだらだめなんだよ」
と言った。
そのとおりだ。なにかとケチってしまう我が身を反省した。
仙台で「水抜き」が必要になったことはなかったんだけど、次の冬からは、ちゃんと天気予報を見て外の水栓を閉めて「水抜き」を行う必要があると思った。
露出しているトイレの水道には凍結防止が施されたとはいえ、他の部分も凍るかもしれない。
仙台のオススメ温泉を訊かれたら困るけど考えてみた
温泉が好きだ。
だが、仙台のオススメ温泉を訊かれたら困る。
東北は温泉大国のイメージがあるらしい。宮城全体としてはもちろん温泉大国だと思う。
温泉行きたいんだよね。いいとこ、ない?
と聞かれたら相手の求めるいいとこがわからないとね。なにしろ私自身は温泉好きを公言してますけど、究極のいい風呂は川で勝手に湧いてる風呂だと思う人ですから……
まあでも個人的おすすめをピックアップしてみますか。RubyKaigiもあることだし。(無理矢理)あ、日帰り前提ね。
秋保温泉共同浴場
秋保は高級旅館が多く日帰りなどすると高いが、共同浴場は安くて質素でいい。
脱衣所も狭いしお風呂も狭いし綺麗ではない。昔ながらの共同浴場。
浴槽があるだけ。しかし秋保は湯が良い。うっかりお湯が口に入るとわかるが、塩辛い泉質で、ぽかぽかにあったまる。しかも湯温自体がすごく熱い。共同浴場にありがちだけど、水を入れてぬるくするのはためらわれる……空気を読んで対応して欲しい。石鹸とか一切ない。というか泉質でせっけんがきかない。
がんがんあったまって、ダラダラ汗をかいて、外にでると床机があるので、売店でアイスを買ってそこで風に吹かれて食べると最高にいい気分だ。
ああ、行きたくなってきた。
アクセスは公共交通機関ならバスの西部ライナーか。車おすすめ。
参考:
明日の湯
仙台市民もあまり知らない。泉ヶ岳に行く途中の根白石にある。看板を見落とす。幼稚園の隣の黄色い建物。
こちらも昔ながらの共同浴場っぽさが漂う。
脱衣場は狭い。中も狭い。シャンプーボディーソープ石鹸はあり、シャワーもある。
お湯がすごくいい。入ってると気泡がつく。熱すぎずぬるすぎず、柔らかくて溶けていくような気分。お年寄りの社交場になっている。
あー書いてると行きたくなってきた。
ウェブサイトなどはないので、「明日の湯」で検索してください。
作並温泉「一の坊」
これまで共同浴場チックな玄人向けばかり紹介してしまったので、一般受けする温泉を。
作並の日帰りも高い。ここ一の坊も高い。1400円もする。でも、広瀬川に面した「広瀬川源流露天風呂」が素晴らしいので、体験していただきたいです。深いので背が低い人やお子様はふちにしがみついてください。緑に包まれる季節がおすすめ。目の前を湾曲する広瀬川源流には魚が泳いでることもあります。時間により男女入れ替えなのでご注意ください。
参考:
秋保森林スポーツ公園の温泉
ここ穴場だと思うんですけど。
森林スポーツ公園っていうキャンプ場とジンギスカン場と子供が遊べる遊具その他がある、さびれた(失礼)公園。フィールドアスレチックは老朽化のため使えなくなっちゃったのが残念。
ウェブ見ても入園料がかかるのかかからないのかいまいちわからないんですが、お風呂入るだけなら1000円しないと思う。駐車場はいっぱいあります。
温泉は山小屋みたいなところにあります。古いけど意外と広く、脱衣所も大浴場も、そして露天風呂も広くてすごく気持ちいい。シャンプーボディーソープドライヤーあり。ここに来て混んだ経験は一度もない。温泉はしっかり秋保のあったまる湯。しかも休憩場もある。自販機もある(含むビール、アイス)。まぁ、管理棟で食べ物は買えるけど。山の中なのでどうしても虫はいます。
ジンギスカンとセットで温泉入るといいです。私は何度かキャンプで行きました。キャンプの人は夜も入れます。ファミリーおすすめ。
天守閣自然公園「市太郎の湯」
ここも秋保。木の家ロッジ村とかおしゃれなカフェとかおそばやさんとか食べるところとかいろいろある。
ウッディな雰囲気が一般受けするように思います。
私はあまり記憶に残ってないのだけど、それより、温泉に入った人は庭園を散歩できるんだけど庭園の中の足湯が気持ちよくて、誰もいないのをいいことに寝転んだら寝てしまったことが記憶に残っています。
とりあえずこんなとこかな。
でも遠刈田とか青根とか東鳴子とか鳴子とか中山平のほうが好き。
ああ、温泉行きたくなってきた。
メールが受信できませんでした
あるアカウントのメールがサーバーにたまりすぎて、100%になってしまった。まったくメールが届かなくなっていた。メールボックスが溢れた、ってやつだ。
500年ぐらいインターネット使ってるのに初めての経験かもなぁ。
まったく気づかないまま数日過ごしてしまった。なんだ静かだな、ぐらいにしか思わなかった。
メールを送って、Cc:で自分の入ってるMLを含めたのに送られて来なくて、やっと気づいた。
自宅とノラヤと、両方のPCでメッセージ見れるようにしていたので、サーバからメール消してなかったんですよ。ここ1年ほど。
そんでも、私にメールが来ることがめったにないから問題なかった。メールを頻繁にやりとりするような仕事もなくなったし、来るのはSPAMぐらいだ。
親しい人とのやりとりはメール以外の手段を使うようになったしねぇ。
ところがRubyKaigiのスタッフになってから、生まれて初めてぐらいの膨大な量のメールが来るようになってしまった。
おお、世間のIT系のひとというのは、こんなにたくさんのメールにまみれて生きているのか。大変だなぁ。
よくエグゼクティブの人が、朝来たら未読が300とか言ってるけど、その大変さを全然わかってなかったんだな。未読が30超えただけで焦る。読むのにえれえ時間がかかる。そんでメールクライアントを立ち上げるのが憂鬱になっていた。
そんな流量が止まったんで普通気づくだろうけど、あれ、楽だ、ぐらいにしか思わなかったんですよ。 現実から目を背けていた。
……しかしこれはやばい。もうIT系をやめた情弱おばさんとしては「どおしたらいいのお〜?」と、一瞬困惑。
とにかくプロバイダ提供のWebメールに切り替え、大容量データを添付したメールなど消していったら、凍結した水道の詰まりが取れたかのように(寒冷地の人しか共感してくれない表現だな)、またMLからメールがするすると届きだした。
あー、よかった。
そういえば大昔。MLで誰かのメールボックスが溢れて、エラーが返ってきてMLに投げられ、それがまたエラーになって、というエラーメールがMLに延々とループし流れることが、たまに、あったなぁ。◯◯さんのメールボックスが溢れてるよー、なんて。
などとインターネット老人の感慨にふけってるばあいじゃないのよ。
放っておくとまた溢れる。
もう2台のPCでメール読むためにサーバに残す、なんてする時代じゃないし、あれだな。Gmailで読もうかな。
はやくなんとかしないと。します。
もう来月RubyKaigi2018、仙台で開催。なので宣伝
RubyKaigiの話を全然書いてなかったので書きます。
前に書いたのはこれ。
RubyKaigi2018のサイトも情報がだんだん増えてきました。Speakerとか。
Keynoteにすとうさんがいます。すとうさんは青森出身のすごいひとです。超イケメンでたいやきが好きな人。
大昔、仙台Ruby会議01やったときも講演してくださいました。(これ、忘れてたけど私が書いたレポートだ。うわー私すごい。もうこんなの書けない)
Rubyist Magazine - RegionalRubyKaigi レポート (05) 仙台 Ruby 会議 01
当時のすとうさんの講演内容は「地方にいて悶々としている若者が東京に出てくる前にやってみること」というメッセージだったのですが、いまや東京のIT企業が仙台に誘致されてきていて(一時的なもんじゃなく続いてほしいですねぇ)、仙台をもりあげようという雰囲気なので、仙台にいてもそれなりに優秀なエンジニアとは出会えるんじゃないかな……よく知らない。あと進んでる会社ほどリモートワークも整備されてきているので仙台にいながら優秀なエンジニアにもなれるんじゃないかな、よく知らない。
なにはともあれ、RubyKaigi2018は優秀なエンジニアが全世界から仙台に集まるのは確実(強引)。そんな機会は二度とない。ので、出会いたい方は行かない選択肢はないと思います。一緒に酒飲んで仲良くなってしまえばいいと思う。
RubyKaigiに参加するには、チケットを買わなければいけません。お金がかかります。
ちなみに学割があります。購入前にメールでクーポンコードをゲット。詳細はここをじっくり読もう。
言い忘れましたが会場は国際センター。仙台市民には「まわりになにもないじゃん」と認識されているところです。コンビニは一番近いところでセブンイレブン仙台川内店だと思う。あと平日だったら東北大学の食堂・生協が使えるかもしれない。坂を登ってください。二高出身の人は定進堂も懐かしいかもね。
そして今、RubyKaigi2018を一緒に盛り上げてくれるHelperを募集しています。締め切り5/2、選考あり。気になる方はぜひ応募してみてください!
とりあえず。ちょこっっと宣伝してみました。
「お金がない」と「お金をあげます」
あー。お金がない、お金がない。しょっちゅう、言っている。
みっともないですね。
口座引き落としができなかった通知がメールで来たり、残高が3桁になったり、そんなとき頭をかかえ、口をついて出てしまうのだ、「金がない」。
しかしいざ、「お金をあげます」と言われると、困惑してしまう。
数年前のことだ。ノラヤの当時の常連だった女性が、ドロップインの最中突然こう言った。
「あの、お金をあげたいんですが」
えっ、と驚くと、
「むなかたさん言ってるじゃないですか。あれがほしい、これがほしい、でもお金がないって。この間も息子さんの服を買う出費が痛かった、って。だから、わたし、むなかたさんにお金をあげようと思って」
「………いりません」
動揺した。そしてなんだかわからないけど、むかあっ、と来た。冷静と笑顔を装って、言った。
「息子の費用は別途口座に積み立てているんです。心配はいりません」
と言うとその人は、
「そうですか……お困りのようだったので。あの、気を悪くしたらすみません」
ええまったく気を悪くしましたよ、と言おうとしたらなぜかそこにいた他の常連の男性がにこやかに「いいえー!」と言ってしまったので(なぜだ!)、なにも言えなかった。
しかしこの、自分の中に沸き起こった、「お金がないみたいなのであげます」と言われることに対しての腹立ちは、なんなんだろう。理不尽だよな。欲しいっつってんだから、怒れる立場じゃないのに。
あとで思いかえすと、くれるなら貰えばよかったのに、と思う。
「息子さんの進級祝いです」とお金を持って来たら恐縮しながらも受け取っただろうから「そういう名目にしてください」と言えばよかった。
施される側、っていやなもんだなと思った。
名目のないお金を施されると、自分が立場が下になったようで、その人のしもべになったようで、気分が悪い。
そういうのがいやなら、「お金がない」と言わなければいいのに、やっぱり言ってしまう。お金がない。
お金がないと言い続けることで自分はすでに、立場が下であることを表明しているというのに。私、めんどくさいな。
すこし前のこと。義母から、私あてにずっしりと重い現金書留封筒が届いた。
いつも物を送ってくる時は、夫と私連盟で宛名を書いてくるのに、わたしに宛てるとは珍しい。
開けてみたら札束、と、長い手紙。
驚いて読む。
「日本での女性の地位は相変わらず厳しい。働いているとはいえ収入も少ないであろう。息子もあなたを働かせて迷惑をかけている。仕事の収入の一部をためてきたお金であるから自身のために使って欲しい。そしてどうかこれからも家族で仲良く暮らしてほしい」といった内容だった。
この時も、かなり困惑した。
特に「女性であるから収入も少ないであろう」と「迷惑」という部分。
たしかに私は子供を持ったことで仕事にかける時間も少なくなり、まっとうな収入を得る機会もかなり失ったと思う。しかし現在、私の収入が非常に少ないのは、いろいろな経緯を経て、やりたくない仕事をしないからである。IT系の仕事はやりたくないからやらなくなったし、ノラヤのような赤字一辺倒な事業も自分が勝手に選んだ道である。だからこそ別途コンビニのバイトなどの仕事で収入を別に得ているのだ。コンビニバイトだって大変だけど、そんなにいやなわけでない。
私にとって、なにかしら働くのは当たり前なのに、「迷惑」というのは、まったく違うのだ。それにお金をもらったから家族仲良くしろというのも……
もやもやした。けれど、すでにお金が手元にある。これはありがたくもらうことにして、一部は生活費や自分のランニング関係のために使ったけど、なるべく使わずに義実家関連イベントが発生したときのためにとっておこうと別口座に保存してある。
お金を労せず貰うって、実はこっちの気分の処理がたいへんだ。
なので、もし私にお金をくれるなら
(1)とにかく有無を言わせないように現金をつきつける、送りつける(いるかどうかきかない)
(2)「ノラヤオープン◯年◯日記念のお祝いです!おめでとうございます!」などと、なんでもいいから名目をつける。
という方向でお願いします。
4月はやばい。大きな引き落としが2つ重なる。バイトの勤務は増やした。それでなんとか乗り切れるだろうか。
ああ、お金がない。
「健康を食い物にするメディアたち」朽木誠一郎
サイエンスバーなどでニセ科学に惑わされない正しい科学的知識を伝えたい私としては、これは、買わずにはいられない。しかし。
健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方 (BuzzFeed Japan Book)
- 作者: 朽木誠一郎
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最初に謝らなくてはなりません、ごめんなさい。
私が朽木さんのことを知ったのは、ぱくたその素材としてが最初。「意識の低いデブ」のインパクトが凄まじくて医療系ジャーナリストの方とは知らず。
よりによって昨年、ノラヤサイエンスバーのニセ科学の会回に朽木さんの画像を使ってしまいました。(左上)水素水のようなものを信じて飲んでる系の雰囲気で。
あんまりですよね……
さて、この本。熱いです。
医療系の情報、いかにおかしいものが世の中に蔓延してきたか。ネット、広告、本、テレビ、あらゆるメディアで健康になりたい人の気持ちが利用され、情報を信じ命を落とす、悔しい、悲しい思いをする人がたくさんいる。どうしてこうなってしまったのか。じゃぁこの状況を変えるには?実際にwelq問題で状況を大きく動かした著者の「変えなければ」という、真摯な思いがすごく強かった。
インチキじゃない、正しい情報がちゃんと伝わるようになって欲しい、そう思っている人はある程度はいるはずだ。
私もノラヤでサイエンスバーなぞやっているのは、「一般人が楽しく正しい科学的知識に触れる場所が仙台にない」と思ったからだ。
冒頭の画像を宣伝に使った第13回のサイエンスバーでは、ニセ科学に関心の強い方が20人集まり、小波先生の話を聞き、ディスカッションした。本書にも出てきた小林製薬の帽子をかぶった女性の広告の話題も出た。でも「どうしたらニセ科学の蔓延を止められるか」をディスカッションのメインテーマにするのは、断念した。一緒にイベントをやった人と相談して、これまで戦ってきて徒労に終わるのをなんども見ているし、たぶん2、30分話合っててもうまく答えはでないよ、ということになったのだ。
しかし「こんなん信じている人いるんだよ、ばっかでー」で、終わってはいけないんだろうなと思っている。なんとかしたい。
身近なところだとうちの母は看護師だけど昔から標準医療否定派で民間療法にどっぷり。私はそんな家庭環境の影響が今でも多少抜けない。母はがん放置療法で有名な某医師の本が好きで何冊も持っている。弟と「あれは困ったなぁ」と言っているがどうしたらいいかわからない。
うちの母みたいなケースは難しいとしても、まだ、「ネットでこう書いてたからこうなんだって!」程度に軽ければ、本書のp.144からの「5W2H」で検証するのが有効だろう。医療デマが溢れている事実すら知らない層がまだまだ多いのだから。
だいたいにして「××したければ◯◯しなさい」「◯◯さえすれば治る、よくなる、やせる」はおかしいに決まってるんだけど、すがりたい人はそういう命令調の楽そうなものに飛びついてしまう。
私は思うのだが、個人の情報発信が悪気がなくて、怖い。よかれと思ってやっているから。たとえGoogleで検索順位は低かろうと、SNSで仲間内で広まっていくから。
仲間内で「自閉症は作られた病気」「子宮をどうのこうの」「がんは◯◯で治る」などと影響力のある人が言っちゃうとわーっと広まってしまう。
SNSだと「この人が言うんだから(やってるんだから)きっとそうなんだ!」ってなっちゃうんだよね。芸能人がやってる高額な医療も影響が大きいけど、身近な知り合いのほうがもっと怖いんじゃないだろうか。しかも「やりなよ」って直接勧められたりして。
間違った情報のつながり、じゃなく、正しい情報のつながりを作ろう。それが著者の提案「#情報のリレー」だ。
実際に怪しい情報は声をあげれば直接規制、自主規制が働くかもしれない。welqのように多くの人に知られたらGoogleまでも動く。
これは怪しい、おかしいと思ったら「#情報のリレー」のハッシュタグをつけて発信すればバトンをつなぎ伝わるようにします。そう朽木さんは宣言している。
「誰も医療デマに騙されることのない世の中」は、実現できます。
こう断言しているんだから、すごい。
背筋が伸びる。そう、この本を読んだからには、情報のリレーの担い手になっているということだ。
「誰も医療デマに騙されることのない世の中にしよう」が、大きなムーブメントになるよう、私も微力ながら協力したい。
医療デマで食っている人からの反感も買うだろう。セミナー業のひととか。
でも、やっぱり、人の命に関わることだ。おかしいことはおかしいと言い続けたい。