仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな47歳、高校生男子の母。

最高の飲酒体験。

学生の頃から一人飲みをしていた。バブルの頃は異端扱いだった。
「酒は気の合う仲間とワイワイ飲むもの」
「一人で飲んで何が楽しいの」
周囲の酒好きを自称する人たちは、酒そのものより酔っ払ってワイワイするのが好きな人たちだった。当然、酔えれば酒なんでなんでもいい、という人がほとんど。今はみんなお酒を選ぶようになって、いい世の中になったと思う。いい世の中になったと思うが、私自身があんまり酒が飲めなくなってきいている。それは家庭をもったのと、金があんまないのと、読める量が減ってきたのと。とにかく「飲める自由」は減っているようだ。悲しい。

それはそうと。

幸せな飲酒体験、として、忘れられない1シーンがある。
あれはまだ、息子もいなくて、配偶者と一緒にはいたけれどアパート住まいで、一人だった夜。
その頃、私には私の部屋があった。その部屋で、テーブルにろうそくを灯した。
いつでも寝られるよう、別室にふとんを用意しておいた。

用意したのは、お刺身、ほか、いくつかのおつまみ。
そして、きーんと冷やした日本酒。思い切って買った、綺麗なグラス。
お気に入りの音楽をラジカセから流して、ろうそくのあかりだけで、ちびちび、酒を飲んだ。
ベランダがあって、窓から空が見える部屋だった。街灯は差し込むけれど、本が読めるほど明るくもない。

おいしかったなぁ。
幸せだったなぁ。


誰もいない。自分だけ。独り占めなのだ、大好きな空間を。


時々思い出す。あれ以上の幸せな飲酒体験はないと。
私にとって幸せなお酒は、誰かと一緒ではない。
たった一人、暗い中に、なのだ。


そしてあの体験は二度とできない。
たとえ私が独り身になって、窓の大きい部屋で、たったひとり、とっておきのおつまみを並べて、とっておきのお酒を用意して、ろうそくを灯したとしても。

私はきっと、そういうシチュエーションになったら、誰かにそれをシェアしてしまうと思うのだ。Facebookとかで。
その時点で、特別は、消え失せる。私はたったひとりではなく、多くの誰かの前にいることになる。
あのときは携帯もなかった。スマホなんて当然なかった。
だから目の前のお酒と食べ物に向き合って、じっくり、過ごした。

いまだって、そういうの使っちゃうの我慢すれば?…………できないだろうね。
幸せは孤独の中にある。それは、何かに真摯にたった一人で向き合う瞬間でしか得られないということなのかもしれない。

それはそうと。
おいしいお酒が飲みたいですねぇ………………ひとりで。