仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

絲山秋子「離陸」高田郁「八朔の雪」(みをつくし料理帖シリーズ)川端裕人「雲の王」

ノラヤに弟が置いた本。表紙の、なんとも気の抜けたお世辞にも美人といえない女性の絵に惹かれ読み始め、気がついたらこの「みをつくし料理帖」シリーズの本を、次々図書館で借りて読んでいる。はまった。
面白い!
主人公は、江戸時代に生きる女料理人。作る料理がおいしそうだし、次々登場人物に襲い掛かる不幸にも、くじけそうになるも、信念を貫いていく。ときおり楽なほうへ、幸せな方へ誘惑が来るけれど…なんとも読んでいて心が痛くなるエピソードが多いけど、でも料理をからめたエピソードが、食材に染み込んだ出汁を味わうようにしんみりとこちらの身にも染み入ってきて、読後感は決して悪くない。だから続きが気になる。
そして料理を作りたくなるのですよ。

すごい本だった。長い時間をじわじわ進んで世界をめぐる物語。過去から始まり、いつのまにか今生きている私らより未来にいる。じっくり読みたい気持ちと早く読みたい気持ちが拮抗した。
絲山秋子は男性が主人公のほうがすんなり読めるなぁ。私みたいなおとこおんな向きなのだろう。あと、働く人への目線が常に暖かいなと思った。いろんな仕事をする人が出てくるのだけど、その描き方に愛があるという印象。「沖で待つ」の帯には「すべての働く人へ」だった、たしか。

気象の仕事をしている女性が主人公で、子持ちバツイチながらも伸びやかに生き、自分に受け継がれた能力に向き合い、苦悶や困難に当たりつつも才能を発揮する姿が、まるで宮粼駿のアニメの主人公みたいで読んでて気持ちよかった。後のほうがラピュタを思い出してしまった。
最初いけすかない奴がだんだん憎めない面白い奴になっていくのも面白い。