仙台広瀬川ワイルド系ワーキングマザー社長

ビールと温泉と面白いものが好きな大学生男子の母。

「兄の終い」村井理子 

httpsに切り替えたところ、Facebookのシェアがゼロにリセットされてしまった。

まあ、べつにいい。

 

けっこういろいろ本を読んだ気がする。たまっているのでじっくりブログにする余裕がなく、さらっと紹介エントリを続けてみようと思う。

「兄の終い」村井理子 

兄の終い

兄の終い

 

多賀城が出てくる。ドイのケーキが出てくる。 コーヒーロール、おいしいよ。

www.f-doi.com

 

村井さんのお兄さんが五十台半ばで突然死んでしまった。

冒頭のその描写でもう、強烈に「これは私だ!」と思ったね。

私もあと少ししたら、50半ばになったら私も死ぬんだろうな。強烈な予感を覚えて立ち読みしてて全身が震えた。

手に職を付けたくて、たくさん資格も取ったのに、50過ぎるともうどこも雇ってくれなくなる。ちょっと勘弁してほしいわ、リアルすぎる、今の私がそんなかんじなんだから。

お金に困り、きょうだいに金の無心をして、関係が悪化して、体調も悪化して、家庭も失って、友人も少なく、さらに就職しづらくなる無限ループ。縁もゆかりもない多賀城のアパートに居を定め、生活保護をもらって、やっと職を得たとたん死んでしまう。あー、私もそうなるだろうな。人生なんてそんなもんだろう。

著者と元奥さんの加奈子さんとの勢いに溢れた「終い」にまつわる作業の様子が描かれ(表紙の絵や中のイラストの、手足を振り回して走ってるような様子がまさにその通り)、加奈子さんがとても気持ちのいいひとで好きだ。この人は離婚するにあたっていろいろな決意を、困難を乗り越えて、そうなっていったんだな。私もできればそっち側になって強く生きたい。でもどうしてもお兄さん側なんじゃないかと思ってしまう。

生き残る側はどこまでも逞しい。悲しいけれど、頭に来るけど、明日はどうなるか分からなくなるけど、そのつらさも生きる側の特権。

このお兄さんにはまだ小学生の息子さんがいて、亡くなっていたのを発見したのもその息子さん。あまりに過酷な現実に直面してしまった少し心を閉ざし気味の息子さんが、これから新しい生活で、本当の自分を取り戻してくれたらなと願う。

私だったらもう息子も大きいし、友人もいないから「あ、そうですか」で済むだろう。