「だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアをめぐる、私たちの物語」西智弘
これもまた死に関する本で、なんでこんなに死を身近に感じたいのか、おそらく私が生きる現実が厳しすぎて逃避したいからだろう。
やれやれ、だ。
どんなに逃げたくても私は相変わらずだ。
noteで課金して読んでいた連載に追加もされて本となった。出版されたばかりの本だったけど、仙台市図書館でキーワードアラートに登録していたので、すぐ読むことができた。
この本の出版は、名取の医師が関わった嘱託殺人事件の少し前。SNSは安楽死を認めるべきか否かという投稿も飛び交っていて、そのあとこの本を読んで、前にも読んだことがあるけど改めてまとめて読んで、深く考えさせられた。
ガン患者の2人が登場する。まだ若く、結婚しているという共通点はあるものの、二人の考え方はまったく違う。さらに現在ガンで闘病中の写真家の幡野広志さん、長年安楽死について取材し著書もある宮下洋一さん、依存症の専門家松本俊彦先生、みんなそれぞれ自分の見てきたこと、体験してきたことから、考えることがまったく違う。でもそれぞれの立場からの意見は、ぜんぶ「なるほど」と思えることで、なるほどやっぱり簡単に結論の出る話じゃないんだなぁと思った。
良く知らなかった緩和ケアについて知ることができたのは良かった。こういう医療があると知ると、安心する。死ぬときはもれなくひどく苦しいんだろうなと思っていたので。
それでも、患者の一人の吉田さん(仮名)の様子は苦しそうで読んでて辛かった。やっぱり辛い描写を読むと「そこまでして生きなきゃいけないの?」と思ってしまう。
月並みな言葉なのが悔しいが生きるってどういうことなんだろうと考える。どういう状態で生きていたら、生きていたい、明日が来てもいいって思い続けられるんだろう。
読み終わっても答えは出ないが引き続き考えなければいけないのでもっとこの分野の本を読みたい。